山下智久、再びエースに戻れるか? 『コード・ブルー』第9話で描かれた“運命の1時間”

山下智久、再びエースに戻れるか?

 「私の大好きなチームは、あの1時間でバラバラになってしまった」。9月11日に放送された『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系)の第9話。「1秒でできることなんか、たかが知れてる。でもそれを3,600個積み重ねると、1時間になる。1時間あると、何が起きるか」という白石恵(新垣結衣)のナレーションから始まる。そして、「その1時間は、時に人生すら変える。人生を左右する1時間。それはいつだって不意打ちで、私たちに衝撃を与える。そしてその1時間は、必ずしも幸せを運んでくるとは限らない」と続く。

 第9話のタイトルは“運命の1時間”。藍沢耕作(山下智久)ら翔北救命救急センターの運命が、大きく変わる1時間が描かれた。

 三名の急患が運ばれてくるところから物語は始まる。第1話の冒頭でも、似たような場面があり、高所転落とマンション火災の熱傷、心筋梗塞の女性という三人の患者が一気に救命へ。その際にはチームとして全く機能しておらず、三人中一人の命しか救うことができなかった。そんなバラバラなチームに、不安と危機感を覚えていたチームリーダーの白石。まさに「数ヶ月前は、このチームでやっていけるのかと悩んだ」という時期だ。

 だが、あれから数ヶ月の時を経て、白石のセリフで「今は、このチームでやっていきたいと強く思う」とあったように、救命はチームとしての結束力を強めていた。今ではフェロードクターたちも育ち始め、戦力になるように。第1話の彼らからは想像もできないほど、頼もしくなっていた。そんなフェローたちや新人ナースの成長もあり、今回は三人中三人、すべての患者を救うことに成功。“チームとして勝てる”ようになってきたことを象徴していたように思う。

 そんな中、急患三人のうちの一人である車いすラグビーの選手、両角考平に同じラグビーチームの選手、豊田がお見舞いにやってくる。試合に勝ったことを報告すると、素直に喜ぶ両角。自分がたとえ無得点でも「チームが勝てればそれでいいんだよ」と微笑む彼に、「昔のお前からじゃ考えられないな」と怒ったような寂しいような表情で呟く豊田。彼らのチームは7年連続日本一に輝いており、その中でも両角は“エース”として活躍していた。

 かつての両角は、とにかく貪欲で自分が得点をあげたい、そのために「俺にパスよこせ、どうにかしてやるから」という自分勝手のプレーばかりだったという。加えて、自分が一番できるという自信もあった。だが、そんなとがっていた両角も「もうエースって言われるのも何だか……。年ですよ、実際」と今ではすっかり丸くなってしまっている。

 そんな両角は、まるで藍沢のようだ。9年前は自分のことばかりで、“俺に執刀させろ、どうにかしてやるから”と言わんばかりに誰よりも自身に満ち溢れていた。同じフェローだった白石らの前を常に走っているような、まさに紛れもない“エース”だったのだ。ただひたすらに、「誰よりもいい医者になる」という自身の夢に向かって、そのためなら周りとの摩擦も厭わない。両角同様に、藍沢もまた「自らの挫折、他人の痛み、そんなものを知って、それでもとがっていられる人間」の一人であった。だが、今では“チームワーク”も“献身的なプレー”も身につけ、丸くなってしまった藍沢。トロント大の推薦を蹴って、救命に残るということは、自らの夢を手放すことに繋がる。それはつまり、豊田が「俺たちが両角を殺した」「エースとしての選手生命は俺たちが絶ったんだ」と言っていたように、藍沢もまたエースとしての未来が今、絶たれそうになっているのかもしれない。

 豊田は言っていた「エースっていうのは、わがままで自分勝手じゃなきゃダメなんだ。とがり続けるっていうのは、精神的にも肉体的にもきつい。だから、大抵の人間は丸くなる」、と。救命に来て、チームに貢献して欲しいと藍沢に頼み込んだ白石たちは、彼を殺してしまったのだろうか。「あいつは優しすぎた」。藍沢もまた、天才ピアニストの天野奏(田鍋梨々花)に対して、必要以上に責任を感じているように、根は優しすぎる人間だ。だからこそ、両角が藍沢の未来を暗示していたのではと不安が残る。

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