松坂桃李、『わろてんか』子役との恋模様が話題に どんな設定も乗りこなす“素直さ”を読む

松坂桃李、俳優としての“素直さ”が武器に

 現在公開中の映画『ユリゴコロ』で、突然婚約者が失踪し、徐々に過去の因縁が襲い掛かる青年・亮介を演じている俳優の松坂桃李。そんな松坂は、10月2日から放送されているNHKの連続テレビ小説『わろてんか』で、葵わかな扮するヒロイン・藤岡てんの夫となる藤吉に扮しているのだが、子役パートで話が展開する第1週目に、松坂だけが子役を起用せず、本人が演じていることが話題になった。

 初週は、後の夫となる藤吉とてんが運命の出会いを果たすところが大きな見どころとなっている。てん役には、現在放送中の『おんな城主 直虎』で柴咲コウ演じる直虎の幼少期・おとわを演じた新井美羽が扮し、濱田岳が演じるてんの幼なじみ風太の幼少期も、鈴木福が担当している。さらに藤吉と同じ旅芸人一派の仲間・キース、リリコも子役が演じている。 

提供=NHK

 そんななか、松坂だけが第1週目から子役に交じって登場する。藤吉とてんがほのかな恋心を抱くシーンでは、実年齢では新井が10歳、松坂が28歳ということで、松坂自身も「笑ってみてください」と完成披露試写で発言しているように、ある意味で突っ込みどころでもあるのだが、NHKのプロデューサーは、回想シーンで別の顔だと不自然だと起用理由を語り、松坂なら大丈夫とも言っていた。確かに過去の朝ドラでもこういったケースはあった。

 では実際どうなのか……。第1週目の完成試写を見ると、まったく気にならないかと言えば無理があるが、シーンの空気感や説得力にはそれほど違和感がない。そこには松坂の持つ、俳優としての“素直さ”が功を奏しているのではないだろうか。 

提供=NHK

 “素直さ”というのは、キャラクターやその人物が置かれている状況を無理なく受け入れて、変に癖をつけることなく、ストレートに表現するということ。もちろん、松坂は映画『エイプリルフールズ』で演じた虚言癖のセックス依存症の天才外科医や、『ピース オブ ケイク』のオカマ・天ちゃんなど、濃いキャラクターを個性的に演じることもあるが、こうした場合でも、飛び道具的な存在感ではなく「こういう人物なら、こんな行動や発言はするんだろうな」と思わせる説得力があった。

 その意味で、『わろてんか』での16歳という設定の藤吉も「その年齢ならこういう仕草や発言、立ち振る舞いをするんだろうな」と妙に納得してしまう芝居をみせている。

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