櫻井翔『先に生まれただけの僕』は“学園ドラマ”ではない? 第4話で始まった“学校改革”

櫻井翔『先僕』は“学園ドラマ”ではない?

 先週の放送で学校改革のための新しい授業の形を“模索”していたと思いきや、早くもそれを実行に移す。この日本テレビ系土曜ドラマ『先に生まれただけの僕』は、小さなテーマを1話のエピソードの中で解決させ、その積み重ねによって大きな主題に導いていくという、登場人物が多いドラマでは典型的な流れを外れ、独自の方向性を作り出そうとしているのだろうか。

 4日に放送された第4話では、島津(瀬戸康史)が実践してみせたアクティブ・ラーニングの授業に感銘を受けた鳴海(櫻井翔)が、これを教師全員にやってもらうことはできないかと考え、1年生と2年生の授業にそれを導入し始める。ところが、それに不満を募らせた3年生からクレームが寄せられ、さらにその鬱憤を後輩たちが向け始めるのである。

 第1話では「奨学金問題」、第2話では「スクールカースト」と生徒を物語の中心において教師たちの模様が描き出されていた。しかし、先週の第3話では「デジタル万引き」がテーマに挙がりつつも、ドラマ全体の大きな主題となる“学校改革”につながる「アクティブ・ラーニング」が登場。それによって小テーマが軽いエッセンスとしてしか働かなくなったのである。

 そしてこの第4話ではもはや小テーマと呼べる部分が完全に取り払われ、“学校改革”のスタートが切られることと、それによって起きる出来事が描かれていた。ドラマ終盤でそのように流れが切り替わることは決して珍しくないが、まだ3分の1を過ぎた段階で形を変えてしまうというのは少々特殊に感じてしまう。

 そもそも鳴海の思い描く“学校改革”とは「赤字経営の学園を黒字化させる」という目標に向かい、「出願者数を増やす」←「進学率を上げる」←「生徒の学力を上げる」←「魅力的な授業を行う」←「教師たちの意識を変える」と、課題を逆算して考えられてきた。「教師たちの意識」がまだ半分ぐらいしか進まない段階で、「魅力的な授業」へと飛んでしまったということになるだろう。

 そうなると、飛ばされた課題である「教師たちの意識」というものが、やはりこのドラマの物語の要となっていくのである。小テーマが失われたことによって、その色がかなり濃くなると同時に、今度は学校を経営している樫松物産の比重も大きくなり始める。そう考えると、これはもはや“学園ドラマ”ではないとバッサリ決めてしまってもいいのだろうか。

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