年末企画:久保田和馬の「2017年 年間ベスト女優TOP10」

久保田和馬の「2017年 年間ベスト女優TOP10」
『未成年だけどコドモじゃない』(c)2017 「みせコド」製作委員会 (c)2012 水波風南/小学館

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2017年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに加え、今年輝いた俳優たちも紹介。今回は、2017年に日本で劇場公開された邦画の作品と、放送されたドラマの中から執筆者が独自の観点で10人の女優をセレクト。第1回の選者は、単館系からアニメまで幅広く論じ、若手女優ウォッチャーとしても多くのレビュー・コラムを執筆した映画ライターの久保田和馬。(編集部)

・『ReLIFE』平祐奈
・『ひるなかの流星』永野芽郁
・『君の膵臓を食べたい』浜辺美波
・『亜人』川栄李奈
・『暗黒女子』玉城ティナ
・『べっぴんさん』芳根京子
・『劇場版 咲-Saki-』山田杏奈
・『二度目の夏、二度と会えない君』吉田円佳
・『はらはらなのか』松本まりか
・『花筐HANAGATAMI』矢作穂香

 2017年を“女優”というテーマ一本に絞って振り返ってみると、まずは2人の若手女優の躍進が欠かせない。1人目は、この1年で9本の出演映画が公開され、バラエティ番組やCMにも相次いで出演した平祐奈。中でも、4月に公開された『ReLIFE』での日代千鶴役はズバ抜けていて、原作に似せた見た目に、真面目で不器用なキャラクターが、彼女の雰囲気に驚くほどハマっていた。

 そんな平は、暗くミステリアスな役柄だけではなく、正反対に突き抜けたキャラクターもこなすという強みを持っている。まもなく公開される『未成年だけどコドモじゃない』や来年の『honey』と、現代色の強い少女漫画ヒロインで、その魅力をさらに開花。この両極端なコントラストは、まだバラエティっぽさが強くもあるが、もう一段階化ければとてつもない女優になりうるだけの素質を感じさせる。

『ひるなかの流星』(c)2017 映画「ひるなかの流星」製作委員会 (c)やまもり三香/集英社

 そしてもう1人。5本の映画に出演し、それぞれでまったく違う表情を見せてくれた永野芽郁。『ひるなかの流星』での愛すべき少女漫画ヒロインのポジション(参考:永野芽郁の圧倒的ヒロイン感に興奮! 『ひるなかの流星』すずめ役の魅力を熱弁)から、『帝一の國』での少年漫画の理想的なヒロイン像、そして『ピーチガール』での伝説的悪女キャラ。(参考:永野芽郁、スクリーン映えする魅力でブレイク! 『帝一の國』『PARKS』『ピーチガール』の輝き

 そこにドラマ『僕たちがやりました』の現代的でまっすぐな少女像も兼ね備えたとなれば、すでに10代を中心にずば抜けた人気を誇る彼女の株はまだまだ伸び、そう簡単には揺るがないだろう。とにかく、来年4月からスタートする朝の連続テレビ小説『半分、青い』は1話たりとも見逃すことはできまい。

『君の膵臓をたべたい』(c)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (c)住野よる/双葉社

 しかしながら、大躍進で注目を集めた2人を、たった一本の映画で凌駕してしまうほど爆発的な魅力を見せつけたのは、7月に公開されスマッシュヒットを記録した『君の膵臓を食べたい』の浜辺美波に他ならない。(参考:『君の膵臓をたべたい』は特別な“初恋映画”だーーヒロイン・浜辺美波のノスタルジックな魅力)この作品での彼女の演技が持つ力強さ。もはや歴史的と言ってもいいほどだ。また、主演作『劇場版 咲-Saki-』や、奇しくも再び病弱キャラを演じることになった『亜人』と、魅力はさらに尽きない。

『亜人』(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

 他に今年躍進を見せた女優としては、『亜人』やドラマ『僕たちがやりました』で脱アイドルキャラを確立した川栄李奈を筆頭に、『サクラダリセット』と『暗黒女子』でのミステリアスな雰囲気から、ショートフィルム『玉城ティナは夢想する』で、画面映えする美しさに拍車をかけた玉城ティナ。そしてもちろん朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』で一躍ブレイク女優の仲間入りを果たした芳根京子も忘れてはならない。

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