『ドクターX』きんちゃん役で注目 鈴木浩介、“小市民”役で出演オファー相次ぐワケ

鈴木浩介、“小市民”が似合うワケ

 入江悠監督作『ビジランテ』が現在公開中だ。入江監督の『サイタマノラッパー』シリーズ以来となる完全オリジナル脚本である本作において、一際印象的な輝きを放っているのが、三兄弟の次男・二郎を演じる鈴木浩介。鈴木は、今期視聴率ナンバーワンドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』にもシーズン1から出演。“きんちゃん”こと原守の成長を体現したシーズン5の演技には、視聴者から称賛の声が相次いだ。

 2017年はドラマ5作品に出演、さらに『ビジランテ』の好演で映画界からもオファーが止みそうにない鈴木の魅力は一体どこにあるのか。ドラマフリーク無宿こと麦倉正樹氏は次のように語る。

「『ビジランテ』の最後のスピーチシーンは一世一代の芝居と言ってもいいぐらい、素晴らしい演技でした。強烈な存在感を放つ兄(大森南朋)と弟(桐谷健太)に挟まれながら、地方都市で生きていくことのしがらみを、観客の目線に一番近い立場で演じていました。温和な空気感と、親しみのある人柄、でも単に地味ではない雰囲気をもった俳優です。これまで、いそうでいなかった稀有な存在だと思います。『ドクターX』の原役にも通じるのですが、いま“小市民”を体現させたら鈴木さんの右に出る役者はいないのでは。周りの強い人たちの意見に左右されながら、自分の意志を貫くか日和ってしまうかで悩む姿に、自分を重ねやすいと感じる視聴者は多いでしょう」

 鈴木の名を広く世に知らしめたのは、ドラマ『LIAR GAME』(2007年)。マッシュルームカットに黒縁メガネのフクナガユウジ役は、そのウザキャラと名言の数々で多くの人の記憶に刻まれているだろう。

「フクナガユウジは、現在の小市民的なイメージとは真逆のトリッキーな役どころでした。その後の出演作も、フクナガ役のイメージのせいなのか、一見真面目な役どころなのに突然“爆発”してしまう破天荒なキャラクターが多かったです。近年、小市民的な役が増えてきたのは、やはり『ドクターX シーズン1』(2012年)の出演がきっかけだったかもしれません。もちろん、年齢を重ねた部分も大きいと思いますが。

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