女優・市川実日子から目が離せない! 『アンナチュラル』や『羊の木』でみせる“説得力”

女優・市川実日子の“亜空間”な魅力

 現在放送中の連続ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)で石原さとみ演じる主人公ミコトの同僚の臨床検査技師・東海林夕子を演じている女優・市川実日子。本作では、プライベート優先で、毎日を楽しく過ごすことを優先させるという女性を演じ、命を扱う重厚なストーリーにポップさを与える役割を好演しているが、2月16日放送の第6話では、連続殺人事件の容疑者なってしまうという思わぬ展開が待ち受ける。今後、一筋縄ではいかない様相を呈してきたが、ここで注目したいのが、市川の女優としての亜空間な魅力だ。

 市川と言えば、抜群のスタイルを駆使し、モデルとして活躍していたが、女優に転身後は、2003年に公開された魚喃キリコ原作のコミックを実写映画化した『blue』で、小西真奈美演じる謎めいたクラスメイトに憧れを抱く女の子を演じ、モスクワ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。本作で市川が演じた桐島は、特別個性的な特徴を持った女の子ではないが、劇中での存在感は目を引く。語らずとも、なにかが伝わってくる佇まいは“特別”なものに感じられた。

 その後も、ドラマ『喰いタン』シリーズ(06-07年/日本テレビ系)の出水京子や、映画『嫌われ松子の一生』(06年)で中谷美紀演じる松子の妹・久美、大河ドラマ『篤姫』(08年/NHK)のお龍、映画『めがね』(07年)の高校教師ハルナなど、それほど出番が多くないものの、印象に残る演技をみせ、映像界には欠かせない女優としての地位を確立する。

 そんな実力派女優の市川が、大きな注目を集めたのが、2016年に公開された『シン・ゴジラ』の尾頭ヒロミ役だ。“環境省自然環境局野生生物課長補佐”という仰々しい名前で登場すると、東京がパニックに陥るなか、まったく慌てることなく、理路整然と状況を分析し、超早口で指示を出す姿は、まるで一人だけ異次元の世界にいるようだった。

 こうした物語の世界観に異質な形で存在するが、調和を乱さないことこそ、彼女の魅力ではないのだろうか。

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 よく俳優を評価するうえで「役のふり幅が大きい演技」という言葉が使われることがあるが、市川の場合、真面目な役、ふざけた役、優しい役、怖い役という、同一線上で真逆のキャラクターを演じるというふり幅の大きさはもちろんだが、そこにまったくベクトルの違う空間を合体させ、強烈な個性を演出するのが、他の俳優と一線を画しているように感じられる。しかも、その際立ったキャラクターが、物語の世界観を壊さないから、唸らざるを得ない。

 前述した『シン・ゴジラ』にしても、知識力が豊富な理系女子というキャラクター設定にプラスして、災害対策本部にいながら、その空間とは隔絶された場所=亜空間にいるような雰囲気を醸し出していた。

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