10代ラストの広瀬すずや葵わかなが奮闘! 作品を背負い引っ張る19歳の女優たち

10代ラストの女優たちの奮闘

 『Mother』『Woman』に続く坂元裕二脚本作品『anone』(日本テレビ系)に主演し、手練れの役者陣の中で健気な成長を見せる広瀬すず。NHKの朝ドラ『わろてんか』で半年間に渡り、日本の朝に明るい笑顔を届けてきた主演の葵わかな。間もなくどちらも最終回を迎えるが、作品を背負い引っ張ってきたのは19歳の女優だ。

 『anone』での広瀬は、これまでの多くのドラマやCMで見せてきたハツラツとした“陽”な印象とは対照的な、『怒り』(2016)や『三度目の殺人』(2017)に続く“陰”なシリアスなキャラクターを演じる。打って変わって待望の最新作『ちはやふる -結び-』では、安定の、ハツラツとした美少女を熱演。『anone』で演じる控えめなキャラクターとの振れ幅はたしかに大きい。しかし広瀬は先述した『怒り』や『三度目の殺人』での“陰”の演技が高く評価されてきた。後者では、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得したばかりである。弾ける笑顔と明るい声が似合う彼女だが、特定のイメージに囚われない果敢な挑戦から生まれる幅の広さは彼女の武器だといえる。連ドラで“陰”な演技を披露したことで、そういったイメージがつきかねないが、すでに『ちはやふる』の公開で払拭済みだろう。むしろさらに強力となった“陰”な演技を、今後の作品に活かしてくれることが楽しみである。

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 『わろてんか』での葵は、明治後期から第二次世界大戦直後までという激動の時代を生きるひとりの女性の半生を、現在進行形で好演中。聴く者を優しく包むような彼女のしっとりとした柔らかい声は、朝の時間にピッタリだ。忙しい日常の中、彼女の笑顔と声に元気をもらっている人も多いのではないだろうか。女社長としての貫禄や、妻として母としての立ち振る舞い、「“笑”を届けたい」というその想い、弱冠19歳ながらもこれらに強い説得力を与えている。現在公開中の『ラーメン食いてぇ!』や、4月から放送の二宮和也主演の医療ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)、さらに夏には佐野勇斗とのダブル主演映画『青夏 Ao-Natsu』など注目の集まる作品への出演が続くが、子役出身者である彼女が幼少期から積み上げ、静かに光っていたものがここで一気に表舞台で輝きはじめた印象だ。“朝ドラ主演”の経験は今後の大きな強みになるであろうし、まだまだ隠し持っているはずの引き出しが開かれていくことに期待である。

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 さらに今期は橋本環奈や恒松祐里といった、主役ではないものの作品の重要な役どころを担った彼女たちも、やはり19歳の女優なのである。

 メディア被害者の復習というシリアスな題材の『FINAL CUT』(カンテレ・フジテレビ系)での橋本は、姉役を演じる栗山千明の落ち着いた大人の女性の魅力とは好対照な、恋する乙女の真っ直ぐな笑顔で華を添えた。『銀魂』や『斉木楠雄のΨ難』などでコメディエンヌとしての才能を開花させていく一方で、今作ではラストに向かって狂気じみていく恋心まで演じ上げた。出演本数こそまだ少なめな彼女だが、次々にヒロインのポジションに立ち、作品を牽引する力を持っていることを個々の作品で証明している。

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