榮倉奈々、新作映画で15パターンの“死んだふり”に挑戦 「『やりません』の選択肢はなかった」

沖縄国際映画祭『妻ふり』舞台挨拶レポート

 映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』の舞台挨拶が4月21日に島ぜんぶでおーきな祭 第10回沖縄国際映画祭にて行われ、W主演を務めた榮倉奈々と安田顕、監督の李闘士男が登壇した。

(左から)李闘士男監督、榮倉奈々、安田顕

 2010年にYahoo!知恵袋に投稿された「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。どういうことなのでしょうか?」という質問を基に映画化した本作。妻・ちえ(榮倉)は、夫・じゅん(安田)が家に帰るたびに死んだふりをするようになるのだが、彼女の謎の行動には“秘密”があるというストーリーだ。

 ちえの“死んだふり”は、口からケチャップを流すだけというシンプルな手口から始まるが、その後、ワニに食われたり、頭を矢で射抜かれたりと次第にバリエーションが増えていく。そのため、劇中で榮倉は七変化ならぬ十五变化を見せているが、そのうちの1つである落ち武者のコスチュームでは当初、とあるハプニングがあったそう。榮倉は「メイクさんも持道具さんも、時代劇をたくさん作ってきたプロの方たちが担当していて、本当に完璧な落ち武者になっちゃって」と、専業主婦ができる範囲を超えた落ち武者に変身してしまったことを明かし、笑いを誘った。

(左から)榮倉奈々、安田顕

 そんな十五变化の撮影は、たった4日で行われたそうで、安田は李監督に殺意を抱くほど大変だったと冗談交じりに打ち明ける。一方、李監督も、あまりの着替えの多さに、榮倉から拒否されるのではないかと、撮影中は彼女と顔を合わせるのが嫌だったと撮影時の気遣いを告白。それを受けた榮倉は「『やりません』という選択肢はなかった」と熱い女優魂を見せた。

 また、“死んだふり”のシーンについて李監督は、ちえの行動をバカなだけに見せないことが重要だったと明かす。ちえの“死んだふり”のあとには、必ず驚かせることを楽しんでいる彼女の反応を入れたと言い、榮倉も安田も納得する素振りを見せた。

 そんな突拍子もない行動をするちえとの共通点を聞かれた榮倉は、「死んだふりをして旦那の帰りを待つ妻という部分だけを切り取れば、まったく共感できる部分はないです(笑)」と正直に回答。それを踏まえた上で「ちえさんの感情とか愛情みたいなものはとても普遍的で、観ていただいた皆さんにも共感できる感情がたくさん込められいる役だと思うので、素敵な方だなと思いました」と彼女の心境を理解している様子だった。

李闘士男監督

 本作では、ちえとじゅんの少し変わった日常を映し出しているが、李監督によれば夫婦だけではなく他者とのコミュニケーションのあり方も描かれているそう。夫婦にしろ友人にしろ兄弟にしろ、コミュニケーションをちゃんと取るのは難しく、ほとんどの人が不器用だと思うと言い、口では言えない不器用な人がどのように思いを伝えていくのかを切り取ったと言う。

 『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』という長いタイトルがついた本作。榮倉も「タイトルの長さではない」と思うほど、オファー当初は驚きが隠せなかったようだが、「ユニークなタイトルからは想像もつかないような深いメッセージや素敵な行間が描かれた映画だなと思いました」と深みのある作品が完成したことに満足しているようだった。

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(取材・文・写真=阿部桜子)

■公開情報
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』
6月8日(金)全国ロードショー
出演:榮倉奈々、安田顕、大谷亮平、野々すみ花
監督:李闘士男
原作:『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(作:K.Kajunsky 漫画:ichida/PHP研究所刊)
主題歌:チャットモンチー「I Laugh You」(キューンミュージック)
配給:KADOKAWA
(c)2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」製作委員会
公式サイト:http://tsumafuri.jp/

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