浜辺美波、自由奔放キャラで別人に 『崖っぷちホテル!』鳳来ハル役で見せる純真さ

浜辺美波、『崖っぷちホテル!』で別人に

 『崖っぷちホテル!』は老舗ホテル「グランデ インヴルサ」を舞台に繰り広げられるシチュエーションコメディだ。4月22日放送の第2話から副支配人となった宇海直哉(岩田剛典)は、威厳0の若き総支配人・桜井佐那(戸田恵梨香)とクセもの揃いの従業員を振り回しつつも、早速ホテルの再建に取りかかる。第2話で注目したいのは、宇海が突如行なった人事異動により、総料理長に昇格した鳳来ハル(浜辺美波)である。

 浜辺演じるハルは、空気が読めず底抜けに明るいキャラクターだ。第1話から、競艇ばかりやっているシェフ・江口竜二(中村倫也)の嫌味を嫌味と捉えず、アイディアを思いつくと人が話していてもすぐに行動するなど、自由奔放である。第2話で総料理長に昇格した際、江口は「無理に決まってんだろ」と言い放つが、ハルは屈託のない笑顔で「ですかねえ?」と楽しそうに返す。

 マイペースにも程があるハルだが、その空気の読めなさに苛立ちを感じないのは、ハルを演じる浜辺の天真爛漫な演技のおかげではないだろうか。全力で目の前のことに取り組むハルの笑顔は、観ていて気持ちがいい。思い立ったら即行動なハルのコロコロ変わる表情を観ていると、視聴者である私たちもハルのペースに持っていかれてしまう。しかし浜辺が心の底から楽しそうな表情を浮かべ、嫌味のない演技をするたび、私たちはハルの行動に好奇心を抱いてしまうのだ。

 ハルの良さは、行動力にもある。第2話で宇海は、ホテルの内装リニューアルのため休業する間、過去の顧客名簿に目を通すよう従業員に指示した。そんな中ハルは、かつて人気を博していた“幻のケーキ”を見つけ、佐那のもとへ駆けつける。やってみたいと思う素直な気持ちを「せっかく準備期間があるんだから、私、それ作ってみたいんです」というまっすぐな言葉で伝えるハル。

 思ったことをそのまま伝えるハルだが、浜辺は変に圧を感じさせることなく、この台詞を言う。ハルのまっすぐな思いを屈託なく演じてみせるのだ。その後、佐那はそのアイディアに賛成しつつも、小さな頃に食べたケーキの味を覚えているか分からないと不安を口にする。ハルはそんな佐那に対して「やりましょう」と間髪入れずに言うことができる。ハルにとって、それがうまくいくか分からない不安より、やったことがないものに挑戦することが大事なのだろう。ワクワクとした表情を見せる浜辺の目は、純粋な好奇心だけで満ちている。

 台詞回しも独特だ。劇中、総料理長の座を奪われた江口はいじけている。しかしそんな江口の心を知らないハルは、競艇新聞を読み込む彼に「そんなもの読んでないで、他のケーキの準備をお願いします」と言ってのける。「幻のケーキの企画が失敗すればいい」と言い放ち、その場を立ち去る江口に対しても、ハルは

「ライオンの親が子供を谷底に落とすっていうやつですか?」
「私に対する愛情ですね、江口さんの」

 と自分なりに解釈する。この解釈には、ハルの隣にいた佐那だけでなく、呆気にとられてしまった視聴者も多かったことだろう。けれども彼女の発言には一切悪気がない。「ありがたいなあ」という表情を浮かべる浜辺に、嫌な感じはしないのだ。むしろ自分なりの解釈で、対立することなく人と接するハルに、羨ましさを感じる。浜辺の純真な演技は、見ている人を笑顔にさせる。

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