北村一輝、激昂から号泣まで 『シグナル 長期未解決事件捜査班』で見せる感情の振れ幅

北村一輝『シグナル』で見せる芝居の熱量

 1997年の連続殺人事件の真相が明らかとなり、真犯人の家族にフォーカスされた『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ・フジテレビ系)の第4話。大切な人を傷つけたくないという思いが、被害者、加害者ともに強く描かれた回となった。

 第3話からの続きである「八代英子殺人事件」の真相と過去の連続殺人事件との関係性が暴かれ、親子で殺人を犯すという複雑なストーリーが展開された。取調室で、八代英子殺人事件の犯人であるバス運転手の田中修一(モロ師岡)に語りかける三枝健人(坂口健太郎)の熱いメッセージや、北野みどり(佐久間由衣)に対する大山剛志(北村一輝)の想いを受け、大切な人の存在を思い出した視聴者も多いのではないだろうか。大山の激昂する姿や、みどりへの想いを胸に号泣する様は、声色や表情の変化、ダイナミックな仕草も見られ、北村の芝居の熱量が強くうかがえた。作品全体を通して、大山の抱えた悲しみがダイレクトに響き視聴者の涙を誘っただろう。

 被害者の人生だけでなく、加害者の家族や人生にも深くフォーカスしたことで物語の重みが増し、かなりハードな回となった第4話。加害者に対し、健人が被害者の人生を語ることで、胸に重い気持ちを残しつつも前に進めるような展開となった。今までの健人よりも、事件に対しての意見の持ち方や向き合い方が真っ直ぐになっている様子から、健人の人間的成長も感じられた。かなり年上である加害者の田中を諭すことで、まだ若く、チームにも参加したばかりの健人の肩に、事件の責任がかかることへの不安感が消えるような演出であった。

 また、第4話での大山の激しさに対し、静かに苦悶の表情を浮かべる坂口の芝居は対照的に描かれている。警察の中では「異端児」という同じ性質を持ちながら、まとう雰囲気に違いがあることは本作の大きな魅力だ。健人というキャラクターには、大山とのキャラクターのバランスのせいか、激しい中にも「静」の印象がある。大山は「動」の魅力に溢れたキャラクターだ。それを北村と坂口は双方とも演じ分け、無線機越しに通じ合うことでお互いの魅力を増幅させている。

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