安達祐実、見事な母親像で説得力をもたせる 『ケンカツ』山田裕貴が見つけた母親への寄り添い方

『ケンカツ』山田裕貴の母親への寄り添い方

 8月7日に放送されたドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)第4話。1年前に夫のDV(家庭内暴力)が原因で離婚し、現在は生活保護を受けながらシングルマザーとして奮闘する岩佐朋美(安達祐実)と、えみる(吉岡里帆)の同期である七条竜一(山田裕貴)の関係がフォーカスされた。

 朋美は、傍目から見てもかなり苦境に立たされているようには思えるが、求職活動にも積極的な、一見、はつらつとした明るい女性である。そんな彼女に対して七条は、女手一つで自分を育ててくれた母のことを重ねてみてしまう。

 番組公式ホームページの人物相関図で七条のところには、「一生懸命働いて育ててくれた母親を見てきたため、何かと理由をつけて働かない人が許せない、という考えの持ち主」とある。恐らく七条は、いつも母の背を見て過ごしてきたのだろう。そして母は、彼の前で弱音など吐かない(吐けない)人だったのかもしれない。


 そんな彼は朋美に「頑張ってほしい」「踏ん張ってほしい」「負けてほしくない」と声をかけ、熱心に応援する姿勢を示す。彼女もまた、それに応えようとする。しかし、これで問題が明るみになる。やはり外側からでは分からない、人それぞれの苦労というものがあるのだ。彼女の懸命さは嘘ではない。何を楽しいと感じるか、何を辛いと感じるかは人それぞれだ。この場合で言えば、七条は朋美に“寄り添えたつもり”になってしまっていただけなのである。だが、彼の必死に応援する姿もまた嘘ではない。

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