予想を裏切る驚愕展開のオンパレード! 沢村一樹主演『絶対零度』第1章を総復習

衝撃の『絶対零度』第1章を総復習

「すいません」

 太宰治の「二十世紀旗手」に出てくる「生れて、すみません」的な人だと、南(柄本時生)は評する(南は「生きていて、すみません」だと間違えて言い、それを突っ込まれるけれど)。

 『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』(フジテレビ系)で、主人公の井沢(沢村一樹)らのチームの一員である、田村(平田満)の口癖だったこの台詞。些細なことでチームの誰かから突っ込まれたときでも、いつも穏やかな笑顔を浮かべて呟く、この「すいません」が、まさかこんな悲劇的台詞として使われることになるなんて誰が予想しただろうか。ミハンのメンバーになる前の田村は、様々な部署をたらい回しにされた過去を持つため、鑑識の技術から爆発物処理に至るその幅広い才能は、物語の要所で発揮されてきた。それだけではない。個性豊かな面々が揃うチームの潤滑油として、南同様に、観る者をどこか安心させてくれた田村であり、彼の不在は誰にも補えるものではないだろう。そんな彼が、自殺を図った第6話。小田切(本田翼)が泣きわめきながら、彼の体を抱き寄せては、その場にいたメンバーがやるせない表情を浮かべてそれを取り囲むエンディングは、目頭を熱くさせた。

 放送直後は、ある種のテンプレートに合わせて作られた“事件解決モノ”の刑事ドラマであるかのように思われたが、回を重ねるに連れてその予想をことごとく裏切られた。第2話から本格的に始まる不気味な“仕置人”演出は、以降、視聴者の注目を引いていったほか、第5話に登場した狂気の青年(道枝駿佑)が自ら首を切り、血しぶきを上げて命を断つというシーンは大きな動揺をもたらした。本作では、毎話の事件解決劇の楽しみもさることながら、物語全体を通した、いわゆる“縦軸”のストーリー展開も見どころであった。そこで、第1章からうかがい知れる、本作の主題、及び今後の展望を考察していこう。

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