YOUが解説する“超ヒモ理論”に納得? 『ヒモメン』母性本能をくすぐる窪田正孝の魅力

『ヒモメン』母性本能をくすぐる窪田正孝の魅力

 ヒモ男の碑文谷翔(窪田正孝)は、ひょんなことから女社長の加賀美香(高岡早紀)に金で雇われ、永遠のヒモ人生を手に入れるかわりに彼女である春日ゆり子(川口春奈)を手放せと選択を迫られる。『ヒモメン』(テレビ朝日系)第6話では、愛か金かという壮大なテーマが翔ちゃんを翻弄した。

 ゲストに高岡早紀を迎え、ラストスパートをかける同ドラマ。翔ちゃんをヒモから更生させることが目的であったゆり子だが、美香の出現でゆり子の彼女としての立場が危ういものに。美香は収入があり、自立したキャリアウーマン。翔ちゃんを雇い、ずっとそばに置いておきたいと翔ちゃんに迫る。

 第1話から継続して、ゆり子への愛のために奮闘してきた翔ちゃんだけに、今回の美香の登場で心が揺らぐ様子は見ていて心が痛んだ。しかし、翔ちゃんは最終的に「ゆり子の隣で楽をしたい」という自分の本心に気づく。この条件付きの要求というのは、常識のある人間では思わず、自分の気持ちの中でも蓋をしてしまいがちな部分だ。人は条件をつけることに負い目を感じる。故に、なかなか自分の気持ちに気づけないことが多い。そんな中、いつでもまっすぐに自分の気持ちと向き合い続ける翔ちゃんのシンプルさは、まさに現代のキャリアに追われている人たちに向けたアンチテーゼと言えよう。大枠の愛か金かというテーマの中にひっそりと忍ばせてある“楽することに素直になる”というメッセージ。ぜひ多くの人の心に届いて、視聴者も翔ちゃんと同様に心身ともにリラックスした毎日を送れたら良いと感じた。

 翔ちゃんのヒモっぷりが魅力であるこのドラマは、翔ちゃんを演じる窪田の愛嬌と端正な顔立ちだけに頼りきりな節があったと感じていた。しかし第6話では、婦長の尾島和子(YOU)が“ヒモ”という存在の魅力について適切な解説をする。超ヒモ理論によると、ヒモは見返りをあえて返さないことで関心を引いているという。さらに欠けている部分を見せて母性本能をくすぐっていると。尾島の超ヒモ理論には思わず頷いてしまうような説得力があった。この解説を聞いて、再度『ヒモメン』を楽しむと、翔ちゃんを突き放せないゆり子の気持ちがわかってくる。

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