竜星涼が『昭和元禄落語心中』にもたらす新たな風 多くの試練が降りかかる与太郎の行く末

竜星涼が『昭和元禄落語心中』にもたらす新たな風

 落語を映し鏡として“生と死”をシリアスに描いてきたNHKドラマ10『昭和元禄落語心中』。11月23日に放送された第7話では、作品の雰囲気を一変させる竜星涼の演技が光る回となった。

 助六(山崎育三郎)とみよ吉(大政絢)の死から長い歳月が経ち、八代目有楽亭八雲(岡田将生)は落語界を牽引するようになっていた。与太郎(竜星涼)も八雲に弟子入りして10年が経ち、真打昇進の話も上がるほど落語家として成長を遂げていた。

 与太郎の寄席は、二ツ目の中では唯一、客が呼べると言えるほどの人気ぶりだった。与太郎は、助六をも超える人懐っこさから、日常会話ですら自然と人を笑顔にさせる。与太郎の噂が1人に知られると瞬く間に町中にその噂が広まってしまうほど人気者になっていたのだ。そのため、まだ内定だった真打昇進の話も広まってしまい、与太郎は八雲に詫びを入れていた。

 与太郎の人柄は作中だけでなく、作品全体の雰囲気もリフレッシュさせている。先週までの菊比古(岡田演じる八代目有楽亭八雲の元の名)を中心とした人間模様は、苦悩や葛藤、欲、存在価値といった人間の本質的な部分がリアルに描かれていた。第1話と今回の第7話を見る限り、かなりのお調子者である与太郎は、これまでからすると浮いたキャラクターである。だが決して違和感はなく、与太郎が現れることによって、作品に和やかな雰囲気が生まれる。助六らの死の真相が語られ、第2章へと突入した本作は、与太郎の再登場で新たな風が吹き込まれた。

 一方、助六の娘である小夏(成海璃子)の妊娠が発覚する。父親の正体をひた隠しにする小夏に対し、与太郎は「おいら、その子の父親になれねえかな?」と突然のプロポーズをする。最初は相手にしなかった小夏だが、どこか助六と被る与太郎を嫌いになれず、与太郎のプロポーズに明確な返事を出せない。

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