竹内結子とも相思相愛 『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』は水川あさみの魅力が全開に

『Queen』水川あさみの魅力が全開

 弁護士ものが多い今期のドラマの中でも、法廷シーンのない新しい弁護士ドラマとして話題の『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)で、水川あさみは初の弁護士役に挑戦している。これまでコメディからシリアスまで様々な役を演じ、名バイプレイヤーとして活躍してきた彼女。このドラマでも、6年ぶりの連続ドラマ主演となった竹内結子との絶妙な掛け合いは、もはや素なのでは? と思わせるほどで、水川の魅力がたくさん詰まったキャラクターを演じている。

 水川あさみと言えば、男っぽさと女らしさの絶妙なバランスが魅力的で、クールなルックスとサバサバした明るいキャラを演じることが多く、そのイメージが定着したのは『のだめカンタービレ』(2006年・フジテレビ)の三木清良役辺りではないだろうか。美しくプライドが高いのだが、一回その心に入り込むと人間らしい優しさがあり、クールな見た目とは裏腹にちょっとトボけた所もある頼れる女性キャラとして人気を博した。他にも『医龍』シリーズ(2006年~・フジテレビ)では天才看護師・里原ミキ役が当たり役となり、同世代の女優の中でも名バイプレイヤーとしての地位を確立。また『もしもツアーズ』(フジテレビ)などのバラエティ番組にも出演するようになり、ドラマのイメージとは違い、おしゃべり好きの明るい性格が世間に浸透し、『33分探偵』(2008年・フジテレビ)や初主演ドラマ『夢をかなえるゾウ』(2008年・日本テレビ)など、素を活かしたコミカルさや姉御肌な役が定着する。

 ただデビューの頃は、クールなビジュアルから心が読みづらいミステリアスな雰囲気を漂わせていた。印象的なのは『さよなら、小津先生』(2001年、フジテレビ)で、田村正和演じる小津先生の娘役で、離婚やイジメの原因ともなった父親を嫌い、怒りを通り越して能面のように冷めきった視線の彼女が、そこから心を取り戻していく思春期の複雑な心理描写を見事に表現していた。また、映画『イズ・エー[is A.]』(2003年)では、小栗旬演じる少年Aの無差別爆破事件の被害者として、後傷を背負って体を売る仕事をする女子高生を演じ、その儚い表情の演技に胸を打つものがあった。大の『エヴァンゲリヲン』好きが影響しているのか分からないが、その世代の若者の虚無感を演じるのが実に巧く、女優としてブレない演技を既に確立していたように思う。ただ、そのスタイルを敢えて崩したことで、演技の幅が広がりブレイクする結果に。

 やがて30代となり、与えられる仕事とやりたい仕事のギャップができ、それを打破しようと事務所から独立。サバサバした明るいイメージとは異なる新境地に挑んだ『ダブル・ファンタジー』(2018年・WOWOWプライム)では、女性としての自由を求め傷ついていく様を繊細に体現し、官能的なシーンが話題となった。その儚さは昔のミステリアスで妖艶な水川を彷彿とさせ、シリアス路線に変更かと思われたが、今回の『Queen』では水川の真骨頂と言えるサバサバした明るいキャラクターが全開。ただ、年齢を重ね、35歳女性としての大人の余裕とかっこよさが色濃く出ている役柄にもなっている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる