唐沢寿明と真木よう子の“安心感”  『ボイス』スリリングな展開との絶妙なバランスが魅力に

『ボイス』唐沢寿明と真木よう子の“安心感”

 樋口(唐沢寿明)とひかり(真木よう子)が共に大切な存在を奪われた、3年前の殺人事件。その協力者が警察内部にいるのではないかという疑惑が高まり続ける『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)。第5話では、樋口とひかりが強行犯係の沖原(木村祐一)に目を光らせるなか、新たにECUのもとへ6歳の児童からの通報が舞い込む。それは、母親(ソニン)にお腹を刺されて今は洗濯機の中に隠れているという、悲惨な事件の報せだった。

 少し前にこの家に連れてこられ、外に出たことがなく、ずっと暗い部屋に閉じ込められてきた。ママの名前は知らず、パパはいるけれど会ったことがない。前にいたお兄ちゃんはパパとどこかへ行ったきり帰ってこなかった……。洗濯機に隠れる少年・歩が電話越しにひかりへ伝えるのは彼が置かれた異常な状況。外に見えたピンクの建物やのちに風鈴だとわかる音を手がかりに手際よく家を特定していくひかりだったが、なぜこんな事件が起きてしまったのか、その原因は掴めずにいた。そんななか樋口と石川(増田貴久)が現場に到着するも、そこは同じ建物が並ぶ団地で、予想外に捜査が難航。そうこうしている間に、歩の奮闘も虚しく、居場所が母親に見つかってしまう。

 本作における、このホラー的な演出の怖さ……。毎回思わず手で目を覆ってしまうほどの恐ろしい展開が用意されているが、そのハラハラ感が『ボイス』の魅力でもあるのだろう。真木よう子が声で被害者を安心させる「優しいお姉さん」的な側面と、唐沢寿明の「頼れるお兄さん」的な部分、あるいは増田貴久(NEWS)との信頼関係が、悲惨な事件も最終的にはどうにかしてくれるのだろうという一定の安心感を生んでいるようにも思う。言わばスリルと安心感の両立。絶妙なバランスで成り立っているがゆえに、怖いけれどなぜか次も見たくなってしまうのだ。 

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