音楽制作ツール BLOCKS、ポータブルシンセ OP-1…曲作りに使えそうなガジェット楽器3選

 楽器とは思えない個性的なフォルムや、既成概念をぶち壊す奇抜な演奏法、そして何より、おもちゃ感覚で演奏できる楽しさ。そんな多彩な魅力を持つ「ガジェット楽器」は昔から多くの人々により親しまれてきたが、ここ最近はテクノロジーの進化や、画期的なアイデアを持つ開発者の増加により、各メーカーからユニークかつ斬新な製品が、次々に発表されている。

 ただ触っているだけでもテンションの上がるガジェット楽器だが、これを「曲作り」に用いてみると、思いがけないアイデアが湧いてくることがある。いつもとは違う音色を、いつもとは違う「演奏法」によって奏でているうちに、普段とは違う脳の部位を刺激されるのかも知れない。何より、「機能制限」の多いガジェット楽器には、その限られた範囲内で工夫する楽しさがあるのだ。

 そんなわけで、今回は筆者が最近気になっている「曲作りに使えそうなガジェット楽器」を3つほど選んでみた。

BLOCKS

 まずは、イギリスの楽器メーカー・ROLIが発表した、世界的に話題の音楽制作ツール「ROLI BLOCKS」から紹介したい。昨年12月に日本上陸したばかりのBLOCKは、まずそのコンパクトなサイズに驚かされる。タテヨコ10センチで、重量は250グラム。ポケットの中に余裕で収まるこのBLOCKSは、iPhoneなどのデバイスと連動して使う。設定は、専用アプリ「NOISE」を立ち上げ、Bluetooth接続するだけ。音色の切り替えや録音・再生などの操作はアプリで行い、BLOCKをタップしたり、スライドしたり、押したりすることによって音色を変えていく。

 発想としては、KORGのKAOSS PADシリーズやKAOSSILATORシリーズに近いものがあるが、BLOCKの方が格段にコンパクト。それに、デバイスを簡単に追加接続ができるため、BLOCKを複数台並べたり、ライブ・コントローラーLive Block、ループ・コントローラーLoop Blockなどと接続したり、スタイルに合わせて自由に組み上げていくことができるのである。

 これで簡単なビートや、ちょっとしたシンセフレーズなどを作り、それに合わせてギターを弾いたりしたら、色々とメロディが浮かんできそうな気がする。

OP-1

 続いて紹介するのは、スウェーデンのメーカー・teenage engineeringから発売されたポータブルシンセサイザー、OP-1。シーケンス機能やサンプリング機能も搭載されているため、これ1台あれば作曲から演奏、録音まで出来るという優れものだ。

 最近、ソロプロジェクト・warbearを始動した元Galileo Galileiの尾崎雄貴が、「OP-1を持ち歩いて、思いついた楽曲の断片の録音などメモ代わりに使っている」とインタビューで話してくれ、それで興味を持ったのだが、とにかくこのOP-1、ルックスが可愛すぎる! いかにも北欧っぽいカラーリングやアイコンの配置など、インスピレーションを大いにかき立ててくれるのだ。

 シンセやリズムマシンで演奏(シーケンス演奏)させたフレーズは、Tape機能で録音していく。ここがOP-1の最もユニークなところ。カセットMTRをイメージしたマルチトラック録音機能になっており、テープの速度を微妙に変えたり、その際のうねるような「テープサウンド」を再現できたりするのである。

 パソコンに搭載された本格的なDAWソフトに比べたら、機能は遥かに少ないが、だからこそ湧いてくるイマジネーションもきっとあるはず。これこそガジェット感覚で楽しむ作曲ツールである。

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