魚介類が光線を打つ異色シューティング『ACE OF SEAFOOD』に受け継がれた精神

『ACE OF SEAFOOD』はあの名作だった?

「まず初めに、海産物になりたいという、ヒトなら誰しもが持つ欲望を曝け出そう」

 そう言われても……という感じである。先日よりニンテンドースイッチ版の配信が始まった、『ACE OF SEAFOOD』は、まずこの「海産物になりてえ。海産物になって敵と戦いてえ」という姿勢をグイグイ求められる。steamやPS4向けにも配信されて好事家にウケていたが、それがこのたびスイッチでも配信されたことで、寝っ転がったり電車に乗っている時でも自由に海産物になれるようになった。

(C)Nussoft, Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.

 『ACE OF SEAFOOD』の内容はそれほど複雑ではない。魚になって広大な海中を泳ぎまわり、光線を撃って他の魚介類を攻撃し、魚礁を陥落させて自分の拠点にする。倒した魚介類は自分の仲間に引き込むことができるので、ゲームを進めていけばプレイヤーはより強力な魚群を率いて海の中で戦うことができる。光線の部分が引っかかったかもしれないが、「この世界では多くの生物が射撃能力を持つ」とチュートリアルで説明してくれるから親切だ。ちなみにこの説明の下には「わかる」と「わからない」という選択肢が表示され、「わからない」を選ぶと永遠にチュートリアルを繰り返すことになる。広大な海に打って出るには、まず魚介類が射撃能力を持つことを「わかる」必要があるのだ。魚介類が光線を打つことに対して絶対に有無を言わせないぞという気迫を感じる。

(C)Nussoft, Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.

 ゲームを起動すると「君の素性を教えてくれ」という言葉とともに、プレイする魚介を選ぶことになる。鰯、鯖、車海老、鮭、伊勢海老……ここから選ぶのか、おれの素性を……。「じゃあせっかくだから一番高級そうなやつで……」と伊勢海老でプレイしたものの、ワサワサと脚を動かしつつ海底を這い回る伊勢海老の勇姿がビジュアル的にちょっとキツかったため、セーブデータを作り直して「鮭」でやり直すことに。脚がワサワサしないから鮭は最高。なんつってもめったに食えない伊勢海老と違って見慣れてるし。

 海中を泳ぎまわりながら他の魚介類を見つけ次第射殺する。イシダタミヤドカリやイソギンチャクを破壊し、魚礁を守るサバやイワシと死闘を繰り広げ、大型で強いバラクーダからは逃げ回る。魚礁を陥落させ、魚群に指示を出す。途中で陽炎型やフレッチャー級と接触した時は「この鮭こんなにデカかったのかよ!」と驚愕した(軍艦と比べるとどの魚介類もほとんど怪獣、パシフィック・リム的なサイズである)。しかし、そのうちになんだか妙なことに気が付いた。

(C)Nussoft, Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.

 黄緑色に光るヘッドアップディスプレイ(HUD)風の表示、無限に近いほど撃てるレーザー光線、十字キーを使って出す僚機への指示、タイトルの文字列や書体の雰囲気……。

 お前ひょっとして、我が友『エースコンバット』なのではないか?

 『エースコンバット』。言わずと知れた国産フライトシューティングゲームの超人気シリーズである。燃料や制限高度、武装の搭載量など堅苦しい要素抜きで「バンバンミサイルを撃ってドカドカ敵機を落とし、プレイヤー1人のパワーで戦局をひっくり返す」という、空戦の気持ち良さにステータスを全フリしたゲームだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる