自宅プレイからライブパフォーマーまで KORG volca専用ミキサー「volca mix」の有用性を解説

「volca mix」の有用性を解説

 volcaシリーズはKORGから発売されている小型のガジェット系シンセサイザー。本格的なサウンドとハードならではのツマミ操作を1万円前後で味わえることから、世界中で人気を博している。現在はvolca keys、volca bass、volca beats、volca sample、volca kick、volca fmの6機種があり、筆者も複数所持している。海外では特にvolca fmの人気が高い。

volca mix

 volcaの特徴は、それぞれをテンポシンクさせて同期演奏ができるところにある。複数台をつないでの演奏はえも言えぬカタルシスがあり、さらにそのパフォーマンス性を高めるべく、専用ミキサー「volca mix」が2018年2月24日に発売された。

KORG volca mix - ANALOGUE PERFORMANCE MIXER

 「volca mix」は4チャンネル(モノラル×2、ステレオ×1)のインプットをもったアナログミキサーで、volca3台を繋げる仕様となっている。小さい筐体ながらフェーダーやローパス/ハイパスフィルター、外部エフェクターへのセンド、そして2台のスピーカーを内蔵し、外部スピーカー無しでプレイできるのも魅力だ。マスターエフェクトもAnalog Stereo Width Expander(Width)と、Analog Dynamic Range Compressor(Dynamics、Speed)の2つが搭載されている。

 さて、そもそもvolcaシリーズでミキサーを使うメリットはどこにあるのだろうか。フェーダーやミュートによるボリュームコントロールはもちろんだが、ここではvolca mixならではのユニーク要素に注目し、そのパフォーマンス性をチェックしていこう。

 まずは12時を起点に逆転するローパス/ハイパスフィルターだ。一部のvolcaシリーズもフィルターを搭載しているが大抵はローパスのため、ハイパスを出せるのはvolca mixならでは。本体のローパスと併用してバンドパスフィルターのような使い方もできる。

 外部エフェクターへのセンドリターンも固有機能。モジュレーション系エフェクターを挟んでもいいし、mini kaoss padでもっと複雑なエフェクターをかけても面白い。今まではスピーカーを通してvolcaを鳴らす場合のみ、スピーカーとvolcaの間にエフェクターを挟むこともできたが、流量を調整することはできなかった。これもミキサーならではの機能だろう。

 エフェクターといえば2種類のマスターエフェクトも忘れてはいけない。筆者もvolca mixを触ったことがあるが、Dynamicsによるコンプ量の変化はとてもユニークだった。これはコンプレッサーというよりもサイドチェインのような性質で、ミキサーに入力された低域(基本はキック)に応じて他のチャンネルのアタックが少し押さえられるようになっている。volca sample、volca beats、volca kickのキックと組み合わせれば、非常にアゲ感の強いダンスチューンが簡単に作れるという次第だ。このコンプ感はぜひヘッドホンか外部スピーカーで堪能してほしい。

 以下の動画の2分35秒からは、サイドチェインのかかった音を聞くことができる。

Korg Volca Mix Review and FX sound test

 そして、既存volcaユーザーにとって何より嬉しいのが、volca mixからDC電源が取れるということ(9V、合計800mAまで)。volcaシリーズは単三電池6本でも駆動するが、コスパ的に考えるとやはりDC電源が望ましい。しかしそうすると今度はコンセント争奪戦が起こるという問題があった(volca3台でコンセントを3つも使うため)。実はvolca mixは電池駆動がなく、DC電源でしか動かせない。しかし、他のvolcaシリーズに電源供給することができるようになったのだ。volcaプレイヤーにとってはかなり嬉しい要素だろう。

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