『ぷよぷよ』がプロライセンス認定タイトルに決定! “eスポーツ化”で期待されること&懸念点をさやわか氏に聞く

ぷよぷよプロライセンス認定タイトル決定

 対戦アクションパズルゲーム『ぷよぷよ』が、一般社団法人日本eスポーツ連合(以下、JeSU)よりジャパン・eスポーツ・プロライセンスが発行される認定タイトルに決定した。4月にはプロライセンス取得選手による優勝賞金100万円を懸けた、初の大会が開催される。

 4月14日、15日に東京・ベルサール秋葉原で行われる「セガフェス  2018」において、一般プレイヤーの参加による『ぷよぷよ』のeスポーツ・プロライセンス認定大会「ぷよぷよカップ in セガフェス 2018」と、プロライセンス取得選手による頂上決戦「ぷよぷよチャンピオンシップ in セガフェス 2018」を開催予定だ。

 プロライセンス認定タイトル化で期待されることや、進むeスポーツ化における課題について、ゲームカルチャーに詳しい評論家・ライターのさやわか氏に話を聞いた。(編集部)

さやわか氏コメント

 90年代後半、衰退の危機に立たされたゲームセンターが生き残りをかけて盛り上げていった対戦型ゲームのジャンルに、格闘ゲームや音楽ゲーム、クイズゲームなどがありますが、『ぷよぷよ』に代表される対戦パズルゲームもそのひとつと言っていいでしょう。海外に比べるとリアルタイム・ストラテジーなどの対戦ジャンル発達しなかった日本では、これらがeスポーツの花形、いわば普通のスポーツで言うところの柔道のようなお家芸的なものとなるのは自然なことです。今回、ニュースになっている『ぷよぷよ』も、株式会社コンパイル時代(注:1998年、セガに『ぷよぷよ』の知財権が売却された)から、「全日本ぷよマスターズ大会」など多くの大会が開催されてきました。

 それだけにプレイヤーのレベルも高く、ブロック(ぷよ)の積み方や落ち方で何連鎖できるか瞬時に計算できる人たちもいて、格闘ゲームなどもそうですが、もはやそのレベルだと素人には何をやっているのかわからないかもしれません。この点が“スポーツ”と冠する時の不安要素にはなり得ますが、最近はゲーム実況動画、ゲーム配信のブームによって、ビギナーが上級者のプレイと、その解説に触れられる機会も多くなりましたし、『ぷよぷよ』の上級者の試合も、ポイントがわかると非常に面白い。これでさらにプレイヤーや観戦するファンを増やしていくのかな、と考察しています。

 ただ、以下は『ぷよぷよ』の話ではないですが、最近かなり注目されてきつつあるものの、日本ではまだeスポーツという文化を継続可能なものにしていく体勢が整っていないところがあります。特に重要なのは、近年の盛り上がりを見て、安易に参入を検討する運営側のあり方です。最近は大会で運営側のトラブルが続出するケースも生まれています。普通のスポーツと同じように、プレイヤー側はもちろん、大会運営の側もスポーツマンシップを持ち、努めて公平に、健全に、そしてシーンに奉仕する気持ちで環境作りをしなければいけない。日本のプロゲーマーの象徴的な存在である、格闘ゲーマーの梅原大吾さんなどは、立ち居振る舞いや発言などから、スポーツマンシップを感じます。しかし、世間一般のレベルに近づくほど、まだ「ゲームで勝ってお金がもらえる」くらいの認識で見られがちでしょう。そういう誤解を解いていく誠実さが運営企業に求められます。

 個人的には『フリースタイルダンジョン』の番組MCが事件を起こしてしまった問題のように、「今からが大事な時期なのに、何をやっているんだ!」という事態にならないよう気をつけてほしいです。つまりプレイヤーだけでなく、周囲で盛り上げていく大人もたちも含めて、「シーンを持続し、社会に認められていく」という形で、業界全体でeスポーツを盛り上げてほしいと願っています。

■さやわか
ライター、評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載。著書に『僕たちのゲーム史』『文学としてのドラゴンクエスト』など。漫画原作に『キューティーミューティー』がある。

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