第一回『CHUNITHM』楽曲コンテスト開始! ニコニコ動画での応募がもたらす広がりを考察

『CHUNITHM』楽曲コンテストに期待されるもの

 2015年7月から稼働したセガ・インタラクティブのアーケード用音楽ゲーム『CHUNITHM(チュウニズム)』。ボタンやツマミといったパーツを用いず、鍵盤を模したタッチパネルとセンサー反応による手の上げ下げといった直感的な操作で、流れてくるノーツに合わせてアクションする「新感覚音ゲー」だ。現在、ゲームセンターの第一線タイトルとして多くのプレイヤーたちに楽しまれており、アニメ・ラノベとのコラボレーションをはじめ、ネット上でも人気の「東方アレンジ」「ボーカロイド」楽曲を数多く採用し、ゲーム内オリジナルユニット「イロドリミドリ」のメディアミックスも展開している。

 3月8日に新要素を加えた『CHUNITHM STAR PLUS』へとアップデートされたばかりだが、14日には公式サイトおよび公式Twitterにて「オリジナル楽曲コンテスト」の開催を告知すると同時に、応募を開始した。期間は5月31日までの一ヶ月半。本作と同じチーム・スタッフが先に手掛けた兄弟作『maimai』でもユーザー参加型の楽曲公募は行われなかったため、この知らせに驚いたプレイヤーは少なくないだろう。

 コンテストの応募要項は、2017年の11月から12月まで公式サイト上で実施した「キャラクター人気投票」にて選ばれたキャラクター5名それぞれのテーマ曲となっており、参考として特設ページ(https://chunithm-special.sega.jp/)にはキャラクターの名前とイラスト、ストーリーなどが紹介されている。

 規定として「曲の長さは最長3分(奨励は2分20秒)」「ボーカルなしのインスト」「リミックスは対象外」などは決められているが、BPMの指定やジャンル制限は設けられていない。プロ・アマ問わずに募集していることから、キャラクターのビジュアルや世界観、『CHUNITHM』特有の操作感などを考慮したオリジナリティあふれる楽曲が登場することを期待せずにはいられない。

楽曲公募から羽ばたいた気鋭のクリエイター

 先述したアニソンや東方アレンジといった人気曲を収録することは、新規ユーザーを取り入れるためのハードルを大きく下げる役割を果たす一方、『CHUNITHM』以外の他社製タイトルでも採用されているため、音ゲー全体としてすでに飽和している面があるのは否めない。耳の肥えたコアなユーザーを満足させるために、「DRAGONLADY」「B.B.K.K.B.K.K.」など、同人サークルまたは個人で活躍する音楽・映像クリエイターたちがネット上で発表した楽曲群を取り入れたことも話題を呼んだが、それも常態化したことにより、いまやプレイヤーを大きく刺激するものとは言えなくなっている。

 こうした状況を変えるための新陳代謝として、音ゲー業界では、ユーザー参加型のオリジナル楽曲公募はこれまでにも行なわれており、オリジナル・アレンジ曲やボーカロイド曲をニコニコ動画にアップロードしているかめりあ氏や黒魔氏といった新進気鋭のサウンドクリエイターを発掘する機会にもなっている。

 また、音楽プロデューサーとして知られるRyu☆氏とKors K氏は『beatmania IIDX 3rd style』稼動時に行なわれたコンテストにて楽曲が採用されたことで、プロの世界で活躍するための足掛かりとなったというのは有名なエピソードだ。今回は『CHUNITHM』という人気タイトルがフィールドということもあり、新たなスターコンポーザーの出現も期待される状況だ。

ニコニコ動画上での審査がもたらすもの

 今回の『CHUNITHM』オリジナル楽曲コンテスト」で特徴的なのは、応募方法がメールやフォームでの送信ではなく、「ニコニコ動画へのアップロード」となっている点だ。再生数、コメント数、マイリスト登録数を審査の参考にしつつ、開発チームが選考するという。

 「第一回チュウニズム公募楽曲」とタグづけされた動画は、3月18日の時点で60を超えている。「この曲で遊んでみたい」「どんなノーツになるか予想がつく」といった感想コメントも書き込まれており、プレイヤーからの期待の高さが伺えるところだ。透明な環境で真にユーザーから求められる楽曲を精査することになり、ファンの愛着を呼ぶとともに、選外でも注目されるクリエイターが出てくる可能性も高い。

 すでに多くのファンを持つプロ・アマのクリエイター楽曲が投稿された場合、無名の新人と再生数やコメント数に大きな差が出てしまうのではないかと懸念する声も少なくはないが、ニコニコ動画を利用した楽曲コンテストは同社の音楽ゲーム『初音ミク Project DIVA Arcade』(以下『DIVA AC』)でもこれまでに4回実施しており、開発チームによる選考はユーザーの納得を得てきた実績がある。

 『CHUNITHM』の場合は計5曲の採用という狭き門であるうえ、一度応募した楽曲はすべてセガ側が権利を保有するという規定も話題になっている。これは裏を返せば、落選しても今後のアップデートや既存の『maimai』、そして今夏稼働予定の新作ゲーム『オンゲキ』に「新曲」として採用される可能性も考えられる。音ゲー業界に新風を巻き起こす可能性を十分に感じさせる、今回の応募企画。5月末までの間にどんな楽曲が投稿され、そしてどれが採用されるのか、ニコニコ動画の関連タグをチェックしていると、今後大ヒットする、“最新”を超えたトレンドに触れられるかもしれない。

(文=クドータクヤ)

◾️第一回『CHUNITHM』オリジナル楽曲コンテスト

募集期間:〜2018年5月31日 23:59まで
募集部門:以下、5部門のキャラクターのイメージにあった楽曲
 アストライア部門/鋼太郎部門/レグルス部門/ニニカ部門/ルミエラ部門

その他、詳細は下記公式ページへ
https://chunithm-special.sega.jp/

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