“歌ってみた”出身YouTuber みやかわくん、人気の理由はサービス精神にあり?

 今年6月にユニバーサルミュージック内のレーベル<ユニバーサルシグマ>からメジャーデビューすることが決定している「みやかわくん」。ペンスピナーとしての一面も持つ、“歌ってみた”出身の彼がなぜ、メジャーデビューに至ったのか。他の“歌ってみたアーティスト”とはどこが違うのか。彼の活動を振り返りながら検証していく。

焚吐×みやかわくん『神風エクスプレス』(通常盤)

 そもそも“歌ってみた”はニコニコ動画の開設とほぼ同時期に、ユーザーが歌唱動画を投稿していったことがきっかけで広まっていったジャンルだ。当時はアニソンを中心に邦楽、洋楽とジャンルは多岐に渡っていたが、2007年8月、初音ミクの誕生により、その中心はボーカロイド楽曲にシフトしていく。一大ムーブメントを起こした“歌ってみた”からピコ、赤飯、バルシェ、まふまふなど数多くの歌い手がメジャーデビューを果たした。

 そんな中、みやかわくんは2015年3月、ニコニコ動画とYouTubeに「戯曲とデフォルメ都市/まふまふ」を投稿。歌い手として活動を始めた。その後、約2カ月に1本という決して多くはないペースで歌ってみた動画をアップロード。それと同時に「『みやかわくん』って何者なの?」など、いわゆるYouTuber的なネタ動画も合わせて投稿している。

 落ち着いた力強い歌声で、歌い手としての実力を見せつけたみやかわくんは、徐々に人気を伸ばしていく。その後もhalyosy「Fire Flower」、米津玄師「メトロノーム」、西沢さんP「夜もすがら君思ふ」など、人気楽曲をカバーして投稿。そして2017年3月に投稿した「【みやかわくん】flumpool「君に届け」歌ってみた」は、本人初の実写動画ということもあり現在再生回数900万回を突破している。

【みやかわくん】flumpool「君に届け」歌ってみた

 たしかな歌唱力と、今風の爽やかなルックスがあいまってみやかわくんの人気はさらに大きいものとなり、地上波の情報番組にも取り上げられるようになる。実写シリーズとしてはそのほか、ONE OK ROCK「The Beginning」、米津玄師「ピースサイン」と2本の動画を投稿しており、計3本の総再生回数は1450万回を超えていることからも、その人気ぶりがわかるだろう。

 実力派シンガーとしての姿とは裏腹に、動画詳細情報の欄では、「やっほー。久しぶりーみやでーす」など力の抜けた簡単な挨拶や、簡単な裏話をまるでTwitterの呟きのようなゆるい文章で披露。また実写動画ではアンパンマンのおもちゃのギターとマイクを使用し、熱唱するというサービス精神旺盛な姿も。歌い手とYouTuber、どちらとも“やりたいからやる”という純粋に楽しんでいる表情が動画にも溢れている。

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