放送直前! 1億円争奪『リアルカイジGP』プロデューサー陣が語る、「忖度しない」番組づくり

『リアルカイジGP』プロデューサー語る

 国内番組史上最高賞金額「1億円」をかけて争われる、AbemaTVの新番組・人生逆転リアリティーショウ『リアルカイジGP』が、4月15日よりいよいよ放送される。リアルサウンドでは、同番組を手がけるAbemaTVのプロデューサー、濱崎賢一氏と古賀吉彦氏を直撃。このかつてない企画が実現するまでの経緯から、“やりすぎではないか”とネット上をざわざわさせた東京予選の裏側、放送の見どころまで、じっくり話を聞いた。(編集部)

左:古賀吉彦氏、右:濱崎賢一氏

1億円がかかれば、ジャンケンでも面白い

ーー人生逆転リアリティーショウ『リアルカイジGP』の企画立案から実現までの経緯を教えてください。

濱崎賢一(以下:濱崎):弊社代表の藤田(晋)と「こういう(夢があって刺激的な)企画ができたらいいね」と日頃から話していて、象徴的な意味の出る『カイジ』の名前を使いたい、ということで、講談社にご挨拶にいきました。後日、原作者の福本伸行先生にもご了承いただき、実現に至ったという流れですね。福本先生には番組にコメントもいただき、放送を楽しみにしていただいています。

ーー『カイジ』シリーズは、人が金や夢を掴む姿もそうですが、情けない部分、必ずしもきれいとは言えない本心も含めた、人間力のようなものを感じる作品だと思います。具体的に企画を検討していく上で、原作のどんな部分を生かしたいと考えたのでしょうか。

濱崎:『カイジ』は当然、創作なので、人が死んでしまったり、取り返しのつかないダメージを負ったり、というリスキーな勝負が展開されます。番組にする際には、そのまま移植することができませんから、冴えない若者だった伊藤開司(カイジ)が、才能や運によって道を切り開き、スターになっていくーーという物語を再現しようと考えました。

古賀吉彦(以下:古賀):タイトルに”人生逆転リアリティーショウ”と入れさせていただいたのはそのためです。AbemaTVはリアリティーショーが大好きで、今回はテーマが恋愛ではなく、大金を手に入れるために人がどう動き、どう変わっていくのか、という姿をそのまま映し出すことができればと。人間のえげつない部分も、きっと出てくると思います。

ーー鍵になるのは、1億円というかつてない賞金額です。

濱崎:意外とすんなり決まったんですよね。藤田と話したときに、「1000万円くらいでも十分に大金だけれど、人生は変わらないんじゃないか」と。1億円なら、人生のターニングポイントになり得る金額だということで、すぐに決まりました。

古賀:AbemaTVではこれまで「亀田興毅に勝ったら1000万」や「朝青龍を押し出したら1000万円」など、“1000万円シリーズ”をやってきたので、「国内番組史上最高賞金額」を謳うなら、一桁大きくして驚かせたかった、という思いが強かったんです。

ーー原作のように、出場者にリスクがなければ人の本質は出てこないのではないか、と見る人もいたと思いますが、1億円がかかった勝負なら、話は別ですね。

濱崎:そうですね。例えばただのジャンケンでも、1億円がかかっていれば、0.1%でも勝率を上げるために、必死で考えると思うんです。少なくとも平常ではいられないはずで、それこそ人の本質に迫ることになりそうだなと。それを観る側は、本性をさらけ出して七転八倒している参加者を見て、最初は「恥ずかしい」「かっこ悪い」と思うかもしれませんが、“人生逆転”を目指す必死な姿に、最後には共感したり、応援する気持ちも出てくると思います。そういう番組にできたらいいですね。

古賀:個人的には、人を騙してでも勝ちに行く、という人間のえげつない部分も見てみたいですね(笑)。そういうアウトローな部分も、リアリティーショーの振れ幅として面白いと思います。「こいつヤバイな」と半分引きながらも、人の強かさを感じて、どんどんハマっていただければと。

賛否両論渦巻いた、東京予選の真相

ーー3月25日に行われた「東京予選」は、その尖った内容でネットを騒然とさせました。種目はどのように決めたのでしょうか?

濱崎:とにかく作家とアイデアを出し合い、どうやったらテレビ的に面白くなるか、1億円がかかっていたら人間はどこまでやるのか、ということを考えて、攻めた企画をそろえました。

ーー「パイプカット」や「その場で婚姻届」など、「法律的に大丈夫か?」という声が寄せられる企画もありました。

濱崎:法律など、配慮しなければいけない部分は当然、事前に検討、精査しています。今後も含めて難しいのは、人が嫌悪感を覚えたり、倫理的な問題で楽しめない、というラインを見極めることです。参加いただく方たちにどこまでやらせていいのか、という線引きは、正直今も探り探り進めています。

古賀:とはいえ、地上波では自粛してしまう可能性があることも、AbemaTVらしい攻め方はしようと。SNSや巨大掲示板などで賛否両論、ハレーションが多少起きると思うので、その点は上層部とも話しながら進めています。

濱崎:いわゆる“忖度”をして、自主規制で無難な企画にする、というのが一番嫌だったんです。法律的にダメなことはもちろんダメですが、批判を恐れてチャレンジしないなら、何もしないほうがまだマシだと。見えない人に遠慮せず、進むと決めた道をしっかり進む、という覚悟です。

ーー実際に予選を終えて、想定外だったことは?

濱崎:「パイプカット」は、さすがに名乗り出る人はいないんじゃないか、と話していたので、挑戦者がいたことに逆に感動を覚えました。そこでお金がもらえるわけでもなく、1億円に挑戦する権利が得られるだけなのに、大丈夫なのかと。ただ、実は、批判があったからではなく、もともと実際にしてもらうことはない、という設定でした。つまり、「パイプカットする!」と申し出て、奥さんを説得できるような人は、その時点で合格だろうと。ブラックジャックでいうところの、「その言葉が聞きたかった」というやつですね。

ーーMCに加藤浩次さんを起用した理由についても聞かせてください。

古賀:キャスティングは僕が担当したのですが、『カイジ』の世界観を表現することができ、加えて、今回の番組はリアリティーショーであり、イベントでもあったので、チャレンジャーたちの兄貴分として、場を盛り上げてくれるのはこの人しかいない、と考えました。もう少し人数が絞られてくれば変わってくると思いますが、まずは1億円争奪の勝負というより、「1億円がほしいかー!」と呼びかけ、背中を押しながら壮絶なチャレンジをさせると(笑)。愛のあるシゴキというか、相方の山本(圭壱)さんに普段からしていることですね。

ーー実際、約2000人の参加者が詰め掛けた東京会場は、かなりの盛り上がりでした。

濱崎:やさぐれた男性が多くなるかなと思っていたのですが、フタを開けて見たら女性もけっこういて、フェスっぽい雰囲気でしたね。

古賀:カップルで来ている人もいて驚きました。僕らとしては、リスクの大きい勝負というより、ドリームジャンボ宝くじを買うような感覚できてほしい、と思っていましたので、楽しんでいただけてよかったなと。ただ、もちろんガチの人たちはいて、特に朝から並んでいる人たちは、かなりの気合でギラギラしていました(笑)。

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