『Nintendo Labo』に唯一の問題があるとしたら、それはかさばることだ

『Nintendo Labo』レビュー

 『Nintendo Labo』は、任天堂がダンボールを活用した新たな遊びを開発したと発売前から大きな話題となっていた。なんせダンボールでバイクやピアノ型のコントローラーを作り、それをNintendo Switchと組み合わせることによってそれらしい遊びになるというのだから、それは確かに物珍しい。

 Nintendo Switchのコントローラーには「モーションIRカメラ」と呼ばれる物の動きを捉えることができるカメラや、自分の手の動きをゲームに伝えることができる「加速度センサー」、そして回転の動きも捉えることができる「ジャイロセンサー」まで搭載されており、実はかなり高性能なのだ。『Nintendo Labo』ではダンボールで外側を作りコントローラーの機能を駆使して、半分は工作のような、そして半分はテレビゲームのような遊びが体験できるのである。

 記事執筆時、『Nintendo Labo』には5種類のアイテムの素材が入った『バラエティ キット』と、大きなロボットを操作するダンボールマシンを作れる『ロボット キット』の2種類が登場している。どちらも興味深いが、『ロボット キット』のほうがより大掛かりで笑えるものに仕上がっているので個人的にはオススメだ。

 さて、『Nintendo Labo』の遊びは三段階に分かれている。まずは“つくる”。箱の中にはゲームソフトがひとつ、ダンボールのシートがたくさん、そして紐や輪ゴムといった細かなパーツがたくさん入っているのだが、とにかくまずは遊びたいものを形にせねばならないのだ。

 コントローラーの振動を使って進むリモコンカーは10分もしないで作れるだろうが、最も大掛かりなロボットとなると3時間以上はかかると思われる。確かに作る行為は工作のようで楽しいかもしれないが、そこまで手順の多いものをきちんと作らせることができるのかは不安だった。大人であろうと不器用な人はいるし、ましてや子供も遊ぶことを考えたらなおさらだ。

 結論から言えばそれは完全な杞憂で、というよりむしろ作り方の説明が立派すぎて驚いた。基本は動画のように見て作るのだが、工程を終えたら自分で1ステップずつ動画を進めるというわかりやすい作りだし、何より作り方の動画は自由に回転させたり角度を変えて見ることができるのだ。さすがに未就学児には厳しいだろうが、小学生くらいになれば大作もきちんと完成させることができそうである。

 また、全体の工程をいくつかに分け、さらにひとつの部品を完成させるときちんと褒めるあたりも良いポイントだ。こういう「プレイヤーを褒める手法」はゲームならばよくあることなのだが、それ以外のジャンルではあまり見ない。「自分で組み立てる家具の説明書も『Nintendo Labo』のようになればいいのに」と思えるほど、本当にこの作る工程はよくできている。

 完成させたらいよいよ“あそぶ”わけだが、本作はとにかくはじめて触った時が面白い。ダンボールで作ったものを組み合わせただけだというのに、釣りをつればきちんと引いている感覚があるし、ダンボール製のピアノの中身は空っぽなのにきちんと認識されて音が出る。バイクもアクセルをふかす感じに驚くだろうし、自分の手足と同期して動くロボットは歩くだけでも笑える。

 ただし、本作の遊びはかなりシンプルだ。いや、確かに細かな遊びはいろいろある。リモコンカーは目標に向かって自動で走らせたり、あるいはふたりで押し相撲のような遊びもできるわけだ。ロボットは街を破壊するゲームのみならず、対戦モードや動きに合わせて音を鳴らすという要素もある。しかしながらゲームとしてものすごく奥が深いというわけではない。言ってしまえばピアノは音が出るだけだし、リモコンカーは走るだけだ。

Nintendo Labo【02 リモコン戦車】Toy-Conガレージであそびの発明

 そこで次のステップとなる“わかる”が用意されている。本作にはそれぞれの遊びがどのような仕組みで動いているのかの説明を見ることができるので、それで中身を理解したら「Toy-Conガレージ」という発明に挑戦できるのだ。これはどのような入力でどのような出力が起こるのかを設定することによりNintendo Switchにさまざまな挙動を行わせることができるというもの。ざっくり言えば論理回路を活用したハードウェア設計だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる