米津玄師、岡崎体育もハマるゲーム実況者「ナポリの男たち」って何者?

 米津玄師が5月2日、自身のツイッターで、「ナポリの男たち(@napolimens)面々と岡崎体育(@okazaki_taiiku )さんと飲みました」と明かした。プライベートなツイート自体が珍しく、また「蘭たんと会えると思ってなかった。ずっと好きだった人と会えるのは嬉しい。これからもがんばろー」という素直な言葉がファンの話題になっている。

 米津が「ずっと好きだった」という「蘭たん」とは、ニコニコ動画を中心に活動するゲーム実況者「ジャック・オ・蘭たん」のことで、「ナポリの男たち」はその所属グループだ。“ゲーム実況”というシーンを知らない人のために、本稿では彼らの魅力について解説しよう。

 「ナポリの男たち」は2016年、ジャック・オ・蘭たん、すぎる、hacchi(ハッチ)、shu3(シューサン)の人気ゲーム実況者4人で結成された。“アイドル実況者”というより、どちらかと言えばゲーム実況のコアなファンにウケてきた4人で、お笑いファンにわかりやすい例を挙げるなら、千鳥、サンドウィッチマン、三四郎がレギュラー出演する『イッテンモノ』(テレビ朝日)のように、メンバーを聞いただけで“面白くならないのがおかしい”と思わされるグループだ。

 米津が邂逅を喜んだ「蘭たん」は、ゲーム実況黎明期の2007年から活動する、最古参プレイヤーのひとり。これまでラジオ等で他の実況プレイヤーと絡むことはあったが、基本的にはマイペースに、好きなゲームを楽しむスタイルだ。基本的には淡々とゲームに向き合うが、時おり暴走するトークは、ワードセンスが抜群。爆笑というよりニヤリとさせられるシーンが多く、視聴していて疲れない、というのも大きな特徴に思えるが、「ナポリの男たち」として投稿した『【実況】ナポリの男たちの挑戦~呪怨編』(http://www.nicovideo.jp/mylist/60909245)では、ホラーゲームが極めて苦手な彼が大騒ぎする様子が、「wwwww」の大草原を作っている。

 「すぎる」も2008年からゲーム実況を続けている古参プレイヤーだ。ゲーム実況界随一の愛されキャラで、関西人らしくボケ倒すのも魅力だが、お笑いセンスの高さと裏腹に、ゲームのストーリーやキャラクターと向き合う姿勢に、中学生的なナイーブさと純粋さを感じるのが面白いところ。初期の代表作『MOTHER2を孤児(みなしご)が初めてやると凄い』(http://www.nicovideo.jp/mylist/7791614)を見ると、その魅力が伝わりやすいかもしれない。

 同じく2008年に大ブレイクを果たした「hacchi」は、動画投稿数こそキャリアと比較して多くはないが、ゲーム実況界のレジェンドと言えるプレイヤーだ。『謎解き死にゲー The Immortalを実況プレイ』(http://www.nicovideo.jp/mylist/7074638)シリーズのパート1で、ゲーム実況動画としてニコ動史上初めて、総合ランキングの1位を獲得。本作に象徴されるように、海外の謎な死にゲーを好み、理不尽な内容に翻弄されながらも、諦めずにクリアまで突き進む。グループで最も冷静で、淡々とした実況をする印象だが、ゲームを最も楽しんでいるのは彼ではないか、とも思える。

 そして「shu3」は、2013年から活躍する、グループの中では“若手”と言える実況プレイヤーだ。『マインクラフト』で誰も得しないMOD(ゲーム要素を拡張するプログラム)を作り、若干“サイコ”なイメージもある玄人好みの実況者だったが、まったりとしたトークと常軌を逸したやり込みプレイでさらに人気を高め、『不可能を越えた超やりこみラストオブアス 』(http://www.nicovideo.jp/mylist/59593882)シリーズでは、ストーリーに関する深い考察と、キャラクターに対する優しい視点を見せている。

 4人に共通して言えるのは、他にはない個性、視聴者の笑いを誘う鋭いセンスがありながら、「毒」の成分が少ないことだ。グループの方針として「介護疲れに効く動画」という言葉が掲げられているが、どちらかと言えば孤高の実況者、という印象の強かった4人がわちゃわちゃとゲームを楽しむコラボ動画は、確かに日々の疲れを忘れさせてくれる癒し効果がある。ラジオ動画も同様に面白く、先日は、米津との飲み会にも参加し、彼らのファンだという岡崎体育がゲスト出演してファンを仰天させていた。

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