Googleカレンダーの新デザインは使いにくい? それとも優れている? UIデザイナーが解説するリニューアルの意図と効果

Googleカレンダー新デザインを読み解く

 去る3月1日、GoogleはWeb版Googleカレンダーのデザインをリニューアルしました。昨年10月から旧デザインと新デザインを任意で切り替えられる仕様でしたが、今回をもって全てのユーザーが強制的に新しいデザインへ移行することになりました。「使いにくくなった」「馴れない」といった声も目立ちますが、個人的にはかなり優れたデザインに進化したと感じています。

マテリアルデザインを丁寧に踏襲した見た目に

 今回のリニューアルのポイントになるのは、やはり見た目や動き(ルック&フィール)です。2014年からGoogle自身が提唱しているデザインガイドライン「マテリアルデザイン」により即したものになり、既に”マテリアル化”が進んでいる、Googleの他サービスやスマートフォン向けアプリなどに追従する形になります。

 「マテリアルデザイン」とは、簡単にいえば、アプリケーションの見た目や動きのルールを策定したものです。あらゆるプロダクトのデザインをこれに則ることで、「プラットフォームを超えた統一的な体験」を実現するのが目的になります。Googleは特に、GmailからToDoを作成できたり、そのToDoがカレンダーでも表示されるといった、プラットフォームを超えた体験を提供しているので、「同じような見た目で同じように使える」ことは大きな意味を持つことになります。

 また、新しいデザインを触ってみるとわかりますが、画面内のほとんどの場所がタップ・クリック可能になっていたり、画面サイズに応じてレイアウトが動的に変わるなど、タッチデバイスを意識したかなりモダンな作りになっています。こういった改善もマテリアルのルールに乗っ取ったものです。その他、使われている色やアイコン、ボタンのデザインやそれにかかる影なども、マテリアルデザインをばっちり踏襲したモダンなデザインに生まれ変わっています。

より多人数向けのサービスに変化

 デザイン変更の影に埋もれがちですが、機能面にもいくつかの変更がありました。中でも、他人のカレンダーを追加できるようになったことの重要性は大きく、これはGoogleカレンダーというサービスの立ち位置を大きくジャンプさせるデザイン変更だと思います。

 知り合いのメールアドレス(Gmail)を入力してアクセス許可をもらうと、自分のカレンダーに他人の予定が表示されるようになります(既存の「他のカレンダー」のようにオンオフが可能)。また、一般に公開されている共有のカレンダーをカテゴリーから探したり、URLから追加する機能も引き続き備えているので、「ハード毎のゲームの発売日」といった目的に応じた予定を自分のカレンダーに表示することも可能です。

 これは、今まで個人利用がメインとなっていたGoogleカレンダーの思想を覆し、マイクロソフトのOutlookのようなビジネス向け予定表サービスへの参入であり、TimeTreeのような共有カレンダービジネスへのカウンターでもあります。特に、ビジネス向けへの路線変更はGoogleが展開しているパッケージ「G Suite」を意識したものであると考えられます。

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