KANA-BOON、ヒトリエ……ライブシーンで台頭する“高速テンポ”バンドたち

 このところ急速に注目度を高めている若手バンド、KANA-BOON。メンバー全員が憧れているバンドであるASIAN KUNG-FU GENERATIONのオープニングアクトを実力で掴み取り、そこからは順調すぎるほどのスピードでスターダムをのし上がっており、今年の5月より全国ワンマンツアーも開催される。彼らがここまで急速に人気が出た理由とは何なのだろうか。ライターの柴那典氏に詳しく聞いてみた。

 「KANA-BOONの魅力を最も的確に感じられるのはライブの場です。各地で行われたフェスやイベントで目撃したんですが、どんな場所でも最初は彼らのことをほとんど知らず、後ろの方で腕組みをしているようなお客さんたちが一定数いるんです。でも、そんな人たちも、30分のライブの終盤には踊っている。そんな光景を何度も見ました。そういった彼らの魅力がフェスに行く10代の男女を中心に、口コミで急速に広まったということが大きいでしょう」

 たった30分でそこまで人を惹き付ける、その音楽的理由とは?

 「楽曲面では、BPM170以上の四つ打ちを中心にしたノリやすい曲が多いのが要素の一つです。でも、彼らは別に速いテンポの楽曲をやろうと思っているわけではなく、自分たちが演奏をしていて心地のいいテンポ、アガれるリズムを追求していくうちに、この速さに辿り着いたと語っています。同年代の若者に支持者が多いのも、その『ちょうど良くアガれる音』に快感を覚えているのでしょう。あと、メロディーとリフに一発で覚えられるキャッチーさがあることも大きいです。彼らもそれを念頭に置いて作っているということですし。サビの歌メロだけではなく、イントロのギターリフも口ずさめる。『ああ、あの曲ね』と会話できるくらい記名性のある楽曲を作っています」

 確かに、彼らの曲にはキャッチ―なギターリフから始まる「ワールド」や「ないものねだり」など、イントロが流れた途端に、どの曲かはっきりわかるものが多い。

KANA-BOON / ないものねだり

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