藤原さくらが生き生きと描く豊かな音楽 スペシャルバンドでのbillboardライブレポート

藤原さくら、billboardライブレポ

 シンガーソングライターの藤原さくらが2016年1月9日(土)東京・billboard LIVE TOKYOでスペシャルワンマンライブ「morning bell」を開催した。2月17日(水)にリリースされるメジャー1stフルアルバム『good morning』のリリースに先駆けて行われた今回のライブで彼女は、さらに豊かさを増した音楽世界ーーブルース、カントリーをポップに昇華した楽曲、スモーキーかつキュートなボーカルーーを生き生きと描いてみせた。

 定刻を少し過ぎた頃、まずはバンドメンバーが登場。SPECIAL OTHERSの宮原“TOYIN”良太(Dr)、柳下“DAYO”武史(G)、SOIL&“PIMP”SESSIONSから秋田ゴールドマン(Ba)、そして、ジャズをベースに幅広い活動を続ける菱山正太(Key)。言うまでもなく、豊富なキャリアを持つ凄腕のミュージシャンばかりだ。メンバーが軽くセッションを交わすなか、藤原さくらが姿を見せる。飛び跳ねるようにステージに上がった彼女は、すぐにセンターの椅子に座り、アコースティックギターを手に取る。自らカウントを出し、まずは「Ellie」を披露。3フィンガーによるオーガニックなギターの音色、軽やかなブルーズとでも形容したくなる奥深いボーカルが広がり、会場の空気をすぐに自分の色で染め上げる。

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 この曲は2014年に発表されたアルバム『full bloom』の収録曲だが、リリース直後のライブに比べると、その表現力は明らかに上がっている。

 同じく『full bloom』に収められている「愛の街」を演奏した後、ニューアルバム『good morning』の収録曲「maybe maybe」を披露。力強さを増したビート、濃密な女性性を感じさせるメロディとボーカルは、彼女の新たな魅力へと直結していた。単に大人っぽくなっただけではない、音楽の芳醇な響きがはっきりと感じられたのだ。

 「先月、二十歳になりました。年明けの最初のライブが憧れていたbillboardなんて、すごく幸せです」という初々しい挨拶の後は、瑞々しい色彩に触れた楽曲が次々と披露される。フォーキーな手触りのサウンドとドラマティックなメロディが印象的だった「BABY」(新曲)、ゲストミュージシャンの高田漣がバンジョーを演奏した「My Heartthrob」、彼女が生まれた年を題名に冠し、支えてくれた人たちへの気持ちを歌った「1995」、そして、Curly Giraffeがエレキベースを弾き、秋田がアコースティックベースを弓で演奏、重厚なアンサンブルが生まれた「Just one girl」。経験豊富なミュージシャンに囲まれながら、カントリー、ブルースを色濃く反映した歌を気持ち良さそうに響かせる藤原。そのナチュラルな佇まいもまた、彼女の大きな魅力だろう。

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