エレファントカシマシは“希望と夢”を追って生きていく 30年の歴史刻んだライブをレポート

エレファントカシマシ、SLSレポ

 スペースシャワーTVが主催する野外ライブイベント『SWEET LOVE SHOWER 2017』が、今年は8月25~27日の3日間にわたって山梨・山中湖交流プラザ きららで開催中だ。リアルサウンドでは、同イベントのライブレポートを掲載。本稿では、今年デビュー30周年、初日のトリを務めたエレファントカシマシのライブの模様をお届けする。

 終演間近の『SWEET LOVE SHOWER 2017』1日目。空がすっかり暗くなったところで、宮本浩次(Vo.&G.)、石森敏行(G.)、高緑成治(B.)、冨永義之(Dr.)が、サポートメンバーとともにステージに現れた。1曲目は「悲しみの果て」。「『SWEET LOVE SHOWER』へようこそ!  俺がやってるわけじゃないけど。……俺たちもようこそ!」という宮本の挨拶から、LAKESIDE STAGE初日ラスト・エレファントカシマシのライブが始まった。

 1988年当時を振り返りながら紹介したデビュー曲「デーデ」の、リズム隊による津波のようなうねりと迫力。聴く者を鼓舞する最新曲「風と共に」の力強さ。「こないだ聴いて30歳の時の自分の歌に感激しました」(宮本)という「風に吹かれて」のドラマティックな響き。今年がデビュー30周年。ここのところ、バンドのことを顧みる機会が増えていたのだろうか。宮本がそれぞれの曲のことを振り返る場面が、この日は特に多かった印象だ。そんななかで語られた、嘘なく生身でぶつかる30年選手の熱演を目の前にしてしまえば、「希望と夢を追って生きていこうぜ。そういう歌です」「歳をとるとそういうこと歌うしかないんですよ、逃げ場がないから」という言葉、そして今現在のバンドが鳴らす剥き出しの演奏には、この上ない説得力が宿っていた。序盤に宮本が「若いお友達が多い会場でございます」と触れていたように、全体的にオーディエンスの年齢層が若かった本日。しかし、拳を高く突き上げる人々で埋め尽くされたフィールドを見渡す限り、デビュー当時からエレカシをリアルタイムで追うことのできなかった世代にも、彼らの音楽はしっかり響いていたのだと思われる。

 ステージが赤く染まるなかで掻き鳴らされた「ガストロンジャー」を経て、「友達がいるのさ」にて「来年もまた会おう! エビバディ!」とオーディエンスと約束を交わし、「俺たちの1stアルバムの1曲目なんです。生きてるってことはつまりこういうことだ!」と本編最終曲「ファイティングマン」ではバンド自身の30年の歴史を、そして本日出演した全アクトの物語をここに集約してみせた。そしてアンコールの「俺たちの明日」で、再び日常へと戻っていくオーディエンスの背中を押し、終了。エレカシだからこそ生み出せた、胸の熱くなるラストシーンだった。

(文=蜂須賀ちなみ/撮影=上山陽介)

■セットリスト
エレファントカシマシ
『SWEET LOVE SHOWER 2017』
2017年8月25(金)山梨・山中湖交流プラザ きらら

1. 悲しみの果て
2. 今宵の月のように
3. デーデ
4. 風と共に
5. 風に吹かれて
6. RAINBOW
7. ガストロンジャー
8. 友達がいるのさ
9. ファイティングマン
EN. 俺たちの明日

『SWEET LOVE SHOWER 2017』ライブレポート特集

8月25日(金)

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