uchuu,が“最先端ハイブリッド型ライブ”で示すものとは? 映像の新規性とサウンドの変化から考察

uchuu,の“最先端ハイブリッド型ライブ”とは?

 uchuu,が9月6日に新体制となって初のEP『KEEP ON』をリリースした。同作は、これまで以上にダンスミュージックの要素を色濃く取り入れた全5曲を収録。また、初回限定盤にはバンドとして初めてDMM VR THEATER YOKOHAMAで開催したイベント『未来都市-mirai city-the3″r”d』を収録したDVDが付属され、音だけでなく映像からも彼らの音楽を楽しむことができる。本稿では『KEEP ON』収録曲および『未来都市-mirai city-the3″r”d』の取り組みから、uchuu,の新たな音楽表現を探っていく。

映像面での取り組み

 まず、DMM VR THEATER YOKOHAMAについて簡単に紹介したい。同会場は世界初の常設型3Dホログラム専用シアター。これまでは『プリキュア』や『アイカツスターズ!』といった2次元キャラクターによるホログラムライブなどを中心に公演を行なってきた。ステージ上のマルチレイヤースクリーンによって裸眼で3D映像を楽しめるのが特徴で、9.1chのスピーカーのほか、ステージ背面に通常のプロジェクター、前面に45°の傾斜がついたハーフミラー製の特殊なスクリーンを設置。ステージ前のLEDディスプレイパネルの映像を前面のスクリーンに一部透過させつつ反射させ、目の錯覚によりステージ上に実際に存在するように見える「ペッパーズ・ゴースト原理」を用いたステージとなっている。

ステージ図

 uchuu,は過去に「SI(G)N SEKAI」のMVをVJ chaosgrooveとともにDMM VR THEATERで撮影しており、その縁から『未来都市-mirai city-the3″r”d』の開催につながった。しかし、前述のようにDMM VR THEATERでは普段はVRキャラクターの公演などが多く、実際にステージで楽器を使用することがなかったため、全て手探りの状態からスタート。開催までの準備には約1年間かかったという。実際にライブを行ってみると、もともと人が立つことを想定していなかったステージではあるが、むしろ人がいるからこそ、背面の映像と手前のホログラムの距離感を認識できる奥行きを感じられ、より立体的に見えるようになるという新たな発見もあったそうだ。

 『未来都市-mirai city-the3″r”d』開催の手助けをした一人、VR THEATER事業部・真島隆大氏に話を聞くと「DMM VR THEATERでは映像を使って歌詞をより強調し、言葉の持つ重みや深さを視覚的にも感じられるというのが大きな強みなので、映像や歌詞を大切にしているアーティストだとより親和性があると思います。今回は普通のライブとは異なる新しい演出ができ、uchuu,とともにまさしく“観る音楽”を作り上げられたと思います」と、3Dホログラムを用いたライブの利点を語った。

 また、このライブ映像を見たデジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏は「映像や世界観の作り方、映像を出すタイミング……どれもが丁寧だと感じました。ライブと映像の組み合わせによって、後ろにあるスクリーンに単純な映像を写すだけではない、新たな世界観が体験できる。ライブ体験として非常に面白いと思います。こうしたハイブリッド型のライブは今後もっと進んでいくのでは」とuchuu,の取り組みを高く評価し、さらなるライブ体験の発展について期待を寄せた。

uchuu, "over myself"at DMM VR THEATER YOKOHAMA (2017.06.04「未来都市-mirai city-the3"r"d」)

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