=LOVE、声優アイドルとして飛躍の1年を振り返る プロデューサー指原莉乃の手腕にも注目

=LOVE、飛躍の1年を振り返る

 2017年は例年に増して、たくさんのアイドルグループがデビューを果たした。代々木アニメーション学院による声優アイドルプロジェクトであり、指原莉乃がプロデュースする=LOVEもその一つだ。

 CDデビュー自体は、今からおよそ3カ月前の9月であるが、ファンの前で初めてお披露目となったのは8月に開催された『TOKYO IDOL FESTIVAL 2017』だった。キャパシティ8,000人を誇るメインステージ「HOT STAGE」が、初パフォーマンスの場となったグループは他にはいない。破格のスタートを切った彼女たちは、リリースイベントを重ね、確実にファンの数を増やしていった。筆者も初見のステージとなった『TIF』、そしてデビューシングル『=LOVE』のリリースイベントと取材で足を運んだが、徐々にファンの輪が大きくなっていくのを感じた。

 =LOVEは、その大きな特徴としてライブやイベントの会場に「撮影可能エリア」を設けていることが挙げられる。これは、プロデューサーである指原のツイートから始まったものであるが、元を辿ればAKB48 チーム8の「各地方イベント中の撮影可能」というルールを踏襲したものだ。いわゆる“カメコ”と呼ばれる一部のファンは、プロも顔負けの望遠レンズを用意し、イベントに臨む。イベント終わりには「#イコラブ」のハッシュタグと共に、メンバーの写真が大量にアップされ、その中から各メンバーがお気に入りの写真を保存しツイート。イベントを観に行けない指原も、Twitterにアップされた写真でメンバーの様子を確認したり、時にはファンのツイートを直接リツイートして、自身のファンへとリーチさせる。フォロワー200万人を超える指原のTwitterをフルに利用した強力な戦略である。リリースイベントの際、通常マスコミ向けに設けられるフォトセッションの時間がしっかりと撮影可能エリアにも設けられているのを見た時には、「流石だ!」と思わず口に出してしまったものだ。

 デビュー月には、SHOWROOMにてレギュラー番組『イコラブ大特訓中!』がスタート。番組MCにはアンタッチャブルの柴田英嗣を迎え、少しずつバラエティのノウハウを覚えていっている。また、指原はデビュー会見時に「声優の世界は厳しいのは私もメンバーも分かっていることなんですけど、実際レッスンはしていて、声優志望の子もいるので。その面でも活躍していただけらたら嬉しいです」と声優としての活動についても話していた(参考:指原莉乃、=LOVEの魅力とコンセプトを熱弁 「逆に今、普通のアイドルがいないんじゃないか」 )。アプリゲーム「ステーションメモリーズ!(駅メモ!)」でメンバー全員がボイスキャストに起用されたことに始まり、佐々木舞香は、劇場アニメ『劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』に続き、『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』の日本語吹替版にて、声優を務める。また、『スターシップ・トゥルーパーズ』では、諸橋沙夏のほか、=LOVEメンバーの声優としての参加も決定している。アイドルとしてだけではなく、声優としても様々な場面で活躍を見せていきそうだ。

 先ほど、ファン数の拡大について触れたが、CD売り上げにもそれは顕著にデータとして表れている。デビューシングル『=LOVE』は、オリコン初週売上は18,746枚、ランキング8位であった。比べて、12月6日にリリースした2ndシングル『僕らの制服クリスマス』は、初週売上40,255枚、ランキング3位と前作から2倍以上の推移を見せている。初めての個別握手会開催も売上増加の要因の一つではあるが、メンバー本人がファンの増加を握手会で感じていることからも、その母数自体が増えていると考えてよいだろう。

【MVフル】僕らの制服クリスマス / =LOVE [公式]

 <グレンチェックのマフラー><コンビニケーキ><冷めたチキン>など、メンバーから見た等身大のクリスマスが歌詞に散りばめられた「僕らの制服クリスマス」。MVは、すでにデビュー曲「=LOVE」の再生回数を超えた110万回を突破している(12月21日時点)。前作と同じ髙松瞳をセンターに据え、マフラーを振り付けに用いた、季節感溢れる煌びやかな楽曲だ。『僕らの制服クリスマス』には、他にも、メンバーの中でもトップのフォロワーと口癖の<大好き>を大胆に歌詞に取り入れた齊藤なぎさセンターの「届いてLOVE YOU♡」。<ここが噂の天国だ!><カメコのみんなも/声を出して!>とプロデューサー指原の作詞の手腕が光るビッグバンド調の「ようこそ!イコラブ沼」といったバリエーションに富んだ楽曲を収録している。

【MVフル】届いてLOVE YOU♡ / =LOVE [公式]

 「声優アイドル」としては、秋元康がプロデュースする<Sony Music Records>と<アニプレックス>がタッグを組む22/7、「アニメ応援プロジェクト」としてアニメ『おそ松さん』のオープニング曲でも知られるA応P、声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニットi☆Ris、声優だけのアイドルユニット・ピュアリーモンスター、スターダスト発の新人声優から成るユニット・サンドリオンなど、=LOVEのライバルと言えるグループは数多くいる。しかし、=LOVEの強みはアイドル界で絶対的知名度と自身もアイドル好きである、指原がプロデュースについていること。SHOWROOMで早くからレギュラー番組を持ち、AKB48グループの番組枠『ネ申テレビ』(ファミリー劇場)では番外編として八ヶ岳の冬山登山という無茶振りに挑んでいる。AiiA 2.5 Theater Tokyoで開催したイベントタイトル『=LOVEアイドル武者修行~アイアシアター、おじゃまします!』からも分かる通り、=LOVEにはAKB48グループから脈々と流れる体当たり精神が受け継がれている。仮にメンバーがアイドルを目指す場合でも、声優を目指す場合でも、その経験は芸能界で活動していく上で、大きな活力となる。“指Pチルドレン”とも称される=LOVEのメンバーにとって、まさに2017年は下積みの年であったと言えるだろう。

 2018年2月には、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて初の舞台公演を行うことが決定した。舞台公演は、アイドルにとって登竜門とも言うべき、精神的に大きく成長できる場所だ。まだまだ成長過程の彼女たち一人ひとりが個性を華開く時、それが“チルドレン”から独り立ちできる瞬間であり、グループとしても大きく羽ばたく可能性に繋がっていく。2018年は、=LOVEにとってターニングポイントの年になることは間違いない。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■リリース情報
2nd Single 『僕らの制服クリスマス』
発売:12月6日(水)
価格:初回仕様限定(Type-A,B / CD+DVD)¥1,500(税込)
通常盤(Type-C)¥1,000(税込)

<初回仕様限定(CD+DVD)盤 共通封入特典>
=LOVEメンバー生写真1枚 ランダム封入予定
全国イベント参加券 or スペシャルプレゼント応募券1枚

■イベント情報
『「僕らの制服クリスマス」発売記念 個別握手会』
12月23日(土) TFT東京ファッションタウンビル内TFTホール1000
2018年1月13日(土)TFT東京ファッションタウンビル
2018年1月21日(日)マイドームおおさか
イベント詳細はこちら

『「僕らの制服クリスマス」発売記念 全国握手会』
2018年1月07日(日)IMPホール(大阪)
イベント詳細はこちら

■関連リンク
=LOVE Official Site
=LOVE メンバー個人配信SHOWROOMページ

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