UVERworldのライブはなぜ胸を熱くする? “有言実行”を体現するバンドスタンスを紐解く

UVERworldが胸を熱くする理由

 全国アリーナツアー『UVERworld TYCOON TOUR』の終盤戦にして、UVERworldにとって10年連続となる日本武道館でのクリスマスライブ『UVERworld Premium LIVE on Xmas 2017』が、昨年12月25日に開催された。

TAKUYA∞
信人
克哉
誠果
真太郎
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TAKUYA∞
信人
克哉
誠果
彰
真太郎
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 実は私はこの日初めてUVERworldのライブを観たため、まずはじめにバンドサウンドの重さに驚かされた。日の丸の下に轟くのは、重低音の効いた刺激的なサウンド。その上に乗るのはTAKUYA∞(Vo)のクリアなボーカルだが、サウンドだけを取り出してみるとラウドロックに近いような印象もあり、例えばここでデスボイスが聞こえてきたとしても何ら違和感のないような、とてつもなく“重い”音をしている。

 ドラムセットがやや高めにセッティングされており、バスドラのビートが客席にダイレクトに届くことも、おそらくそう聴こえる一因だろう。後のMCでTAKUYA∞が、ライブの「やり方」や「見せ方」ではなく「制圧のしかた」という言い方をしていた通り、まさにそういう種類の言葉が似合うような感じだ。この日は、11月から開催されていたアリーナツアー全17公演中の15本目であり、それ以前の8~10月にも、全24公演の全国ホールツアー『UVERworld IDEAL REALITY TOUR』をまわっていたUVERworld。迫力あるサウンドは、約5カ月に及んだ全国行脚の賜物といったことだろうか。

 年に一度の特別な日ということで、「Roots」(3rdアルバム『PROGLUTION』収録)、「心とココロ」(5thアルバム『LAST』収録)などライブで演奏される機会の少ない曲も披露された同ライブ。冒頭には7曲連続で『TYCOON』収録曲を演奏しておりそのライブ構成はまるで、ここ3年でリリースされたシングル曲群“以外”を序盤に固めた『TYCOON』のトラックリストを彷彿とさせる。そんなところからも、今現在の彼らが抱く自信のほどを窺うことができた。

 そしてセットリストが進むにつれて、この重厚なサウンドがどんどんと色を変えていくから面白い。アルバムの中でも一際EDM色の強い「I LOVE THE WORLD」では、同期によるダンストラックとバンドサウンドが大胆に融合。「WE ARE GO」はTAKUYA∞以外の4名が太鼓類の打楽器を叩くことによって、音源よりも土着的な響きに変貌。「IDEAL REALITY」ではサックスの旋律とスラップベースの絡み合いが都会的な華やかさを演出し、「シリウス」ではピアノの和音による澄んだ響きとともに疾走感抜群のサウンドが鳴りわたった。スウィートなラブソング「SHOUT LOVE」では客席から女性2名をステージに上げ、時にはTAKUYA∞が彼女らへ語りかけるように唄うという演出も。そしてそのあとに続くのが、メンバーが横一列に並び、緊迫した空気の中で行われるバンドセッション(「CORE STREAM」)である。

 ご覧の通り、とにかく振れ幅が大きい。UVERworldのサウンドは元々ミクスチャー的な要素が強く、一定の音楽ジャンルにこだわっていないような節があるため、複数の楽曲が連続して演奏されるライブでの情報量は凄まじいことになる。中には洋楽的なノリを求められる曲もあるし、一曲の中でリズムがガラッと変わるような曲もあるため、決して“分かりやすい”曲を作っているバンドではないのかもしれない。しかしそれでもオーディエンスは積極的にライブについてくるし、場内では続々とシンガロングが起こり、一体感に包まれていき、大きな盛り上がりが生まれていくのだ。非常に興味深い現象だ。

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