noovyが“ラブソング集”の2ndシングルに込めた思い 日本と台湾における「恋愛観の違い」も語る

noovyが“ラブソング集”に込めた思い

 2017年に日本でのメジャーデビューをかけて来日すると、半年間共同生活をしながらライブ会場限定のシングルを1000枚、ミニアルバムを3000枚売り切るプロジェクトを成功させ、9月にメジャーデビューシングル『Garage』をリリースした台湾出身の4人組ボーイズバンド・noovy。彼らが日本での2ndシングル『Singin’ for you』を完成させた。

 今回の『Singin’ for you』は、いわばnoovy流のラブソング集。ピュアな恋愛の気持ちを歌ったタイトル曲の「Singin’ for you」を筆頭に、メンバーのShawnが作詞作曲にかかわった「First Kiss」、そして日本でもファンの間では人気曲となっている「Bye Bye Darling」の英語詞バージョンなど、楽曲ごとに異なるタイプのラブソングが詰まっている。リアルサウンドのインタビューに応えてくれるのは今回で3回目。相変わらずユーモアを交えて話してくれる4人に、今回の作品に込めた思いや、この1年間でのバンドの成長を聞いた。(杉山 仁)【※インタビュー最後に読者プレゼント情報あり】

「2017年は、noovyをバンドにしてくれた年」(Hank)

――みなさんが日本に来たばかりの頃に初めてインタビューをさせてもらってから、早いものでもう約1年になるんですね。

全員:(口々に)わぁ……。早いですね……!!

Shawn

――昨年の活動が充実していたからこそ、2018年はいい形で迎えられているんじゃないかと思うのですが、みなさんはどんな風に感じていますか?

Shawn:2017年は今までで一番忙しい年でした。今振り返ってみても本当に不思議でしょうがないという気持ちで、間違いなくnoovyにとってのターニングポイントになった年だったと思います。「2018年はもっと忙しい年になればいいな……!」と願っていますね。

Mark:2017年は日本でスタートを切った年だったので、今年は勝負の年にしたいと思っているんです。

Hank

――この1年間で、何が一番勉強になりましたか?

Shawn:やっぱりライブですね。つい1年前まで、僕たちはほぼライブ経験がゼロだったのに、この1年間で100本以上のライブをすることになりました(笑)。それに、自分たちのライブだけではなくて、対バンしてくれた色々なバンドから得た刺激をも大きかったです。日本に来る前は、台湾の生放送の音楽番組ですごく緊張していたんですけど、たくさんライブの経験を積んで台湾に帰ったときに、今回はあまり緊張することなく演奏が出来ました。

Hank:やっぱり2017年は、noovyをバンドにしてくれた年だったんだと思います。普通のバンドにとっては当たり前のことかもしれないですけど、僕らは1年間でバンドのやり方やメンバー同士のコミュニケーションの取り方もたくさん学ぶことになりました。

JK:前のインタビューでも言いましたけど、日本に来るまでの2年間は、本当に先が見えない中でずっと活動してきたので。それが、昨年1年でライブ経験を積んで、バンドとしてどんな風に活動していけばいいのかが、すごく分かるようになったと思います。

Mark:お客さんの煽り方やコミュニケーションの取り方も、日本のアーティストの人たちからもたくさん勉強をさせてもらいました。

Mark

――Shawnさんは年末に、Twitterでファンの人たちに向けて「約束しましょうか? 来年絶対もっと良いバンドになります!」とメッセージを投稿していましたね。そこからも、noovyの今年にかける気持ちが伝わってくるようでした。

Shawn:昨年1年間でやっとスタートラインに立てたので、今年も精いっぱい頑張ります!

――ちなみに、そのメッセージの中で、「あけましておめでとうございます」が「あげましておめでとうございます」になっていました……(笑)。惜しい!

Shawn:(日本語で)恥ずかしい(笑)。「また」と「まだ」もよく間違えてしまいます(笑)。

Hank:昨年は日本各地を回ってきて、今年は1月に「Singin’ for you」で初めてラジオのパワープレイを取ることもできたので、それがこれまで1年間やってきたことへのプレゼントのような気がして、僕らを応援してくれた人たちに感謝の気持ちでいっぱいですね。

JK

――そして今回、その『Singin’ for you』がリリースされることになりました。今回はこれまで夢や友情をテーマにした曲が多かったnoovyにとって初の本格的なラブソングでまとめられた作品だけに、バンドにとっての新しい挑戦になったんじゃないですか?

Shawn:これまでリリースしてきた曲は、たとえば結成当初からあった「Garage」のように、ずっと昔から録っていた曲でした。それに、自分の実体験を歌った曲が多くて、等身大の世界観を持っている曲ばかりで。それもあって、ファンのみんなとの繋がりができるような曲があまりないと感じていたんです。それで今回は、ラブソングに挑戦してみようと思いました。

――なるほど、自分たちのことを歌う曲だけではなくて、ファンの人たちが自分たちのものとして共感できるような曲もやりたいと思ったんですね。

Shawn:そうですね。それに、これまで唯一あったラブソングは失恋の曲だったので、今回は好きな気持ちを表現した、ストレートなラブソングを歌いたいと思いました。タイトル曲の「Singin' for you」は最初、デモの段階でスタッフのリュウさんが(noovyの曲とは言わずに)さりげなく流していて、僕が「このお洒落な洋楽は何ですか? どこのアーティストさんですか?」と聞いたんですよ。そうしたら、「noovyのデモだよ」と言われて、ビックリしました(笑)。

――(笑)。この曲はShawnさんの歌と、Hankさんのギターパートが絡み合うように進む雰囲気で、ライブで演奏するのもとても難しそうです。

Shawn&Hank:(日本語で)難しい……! 頑張っています……。

Hank:ただ、この曲はデモを聴いた段階で、僕たち全員「これがやりたい!」と思えた曲でした。自分たちの曲だと分かってからは、作品になるのが待ち遠しかったですね。

Mark:今までの曲もすごくいい曲ですけど、この曲はこれまでとは違って、リズムもかなり細かく取っているんですよ。だからすごく新鮮な感じでした。

Shawn:バンドが好きな人以外の人も好きになってくれそうな雰囲気があって、聴いてくれる人が広がりそうな魅力がある曲ですよね。

JK:一度聴いたらサビを覚えてしまうようなキャッチーな曲で、いままでのnoovyよりも大人っぽい曲でもあると思うので、僕らにとっての新しい挑戦になりました。

Shawn:今までの僕たちの楽曲は、僕たち自身が一生懸命頑張っている姿を見てもらうのが基本姿勢だったと思うんですけど、この曲は余裕を持ってやったほうがかっこいいので、そういうことを意識しています。でも、本当はこれまでで一番演奏が難しい曲で……(笑)。僕の場合、アコースティックギターを弾きながら日本語で歌うということも難しいので、頑張ってやらないといけない曲なのに、頑張って「頑張っていないように」見せなければいけないんです(笑)。あと、この曲はさっきも言ったように自分の中で完結する曲ではないので、どうやって聴いてくれる人にシチュエーションを伝えるか、曲の中に入ってきてもらうかを考えて歌っていますね。

JK:ベースは、パッと聴くと今までよりも簡単に聞こえるんですけど、これまでの曲と違ってすごく爽やかな曲なので、その雰囲気をどう表現するのかがすごく難しいです。しっかりリズムを刻みながらも、演奏自体は体も含めて軽やかに見せるように考えるのが大変です。

Hank:ギターは本当に難しいです……。

全員:(笑)。

Hank:雲の上に乗っているようなイメージで、気持ちの整理から入っていきますね。

Mark:ドラムの場合、気を抜かないように、細かいリズムに気を付けています。ライブのときは、noovyのこれまでの曲と雰囲気が全然違うので、気持ちの切り替えを意識していますね。僕はドラムを叩いていても、すぐに気持ちが出てしまうんですよ(笑)。だから、自分の気持ちを整理して、別人になった気持ちでやわらかく叩くことを心がけています。

「リアルな日本の学校に初めて入れたのが嬉しくて」(Mark)

――ちなみに、「Singin’ for you」の歌詞に出て来る男の子についてはどう思いますか?

Shawn:(日本語で)女々しい!

Hank:(笑)。この男の子の気持ちも分かるんですけど、僕たちの場合は、最初は緊張するかもしれないけれど、途中からは正直に気持ちを伝えてしまいます(笑)。

Shawn:こういう男の子は、台湾ではきっと彼女ができないと思いますよ。台湾は競争が激しいんです(笑)。

――ははははは。

Shawn:もちろん、僕もこの曲の主人公の気持ちはよく分かります。特に一番共感できるのは、<はしゃいでたデート/君の駅がもうすぐ/「離さない」言えないから/寝たふりで/君の肩/頭を乗せた>のところ。ずっと観てきた日本のTVドラマのワンシーンのようでした。

――日本と台湾では、恋愛ドラマにも違いがあるんですか?

Shawn:日本はとてもリアルな恋愛ドラマが多いと思います。最近の日本のラブストーリーだと、映画の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』も観ました。台湾のドラマは韓国と似ていて、たいていはイケメンでお金持ちの男の子と、天然な女の子の物語で、最初は女の子はその男の子のことをすごく嫌いなんですよ。「あなたは金持ちだから、何とでもなると思ってるんでしょ」というパターンばかりです(笑)。でも今回の「Singin’ for you」は、もっとピュアな恋愛の気持ちを歌った曲ですね。この気持ちは、世界共通だと思うので。

――「ピュアな恋愛の楽曲」とあって、「Singin’ for you」は学校を舞台にしてMVを撮っていますね。

Shawn:初めて日本の学校でMVを撮影しました。それに、初めてたくさんの日本の人たちと共演しました。日本の若い女の子と共演するのはちょっと恥ずかしかったです(笑)。

Mark:小さい頃マンガで読んでいたリアルな日本の学校に初めて入れたのが嬉しくて、興奮しましたね。ずっとマンガとドラマで観ていたので、初めての場所という感じがしなくて、「ああ、ずっと観ていた場所が本当にあるんだ!」という感じでした。

Shawn:(日本語で)放送室がすごい!

Mark:日本の作品でよく恋がはじまる下駄箱も見られてすごく楽しかったです。MVは4人ともひとりの女の子が好きだという設定で、でも4人とも最初はその気持ちが言えなくて……。

Hank:僕が放課後に「実はあの子が好きだ。今から告白しに行こうと思う」と伝えたら、みんなは「僕も好きなんだけど」と思いながら一度は「応援するよ」という話になって……。

JK:そのあと、全員で(女の子にアピールするために)特技を披露し合います。ちょっとコミカルなMVですね(笑)。

Shawn:でも僕だけは、特技も披露しないまま(腕相撲に熱中する3人を横目に)黙って女の子の手を引いて屋上まで行ってしまうんです(笑)。日本の女の子の手を初めて握った瞬間でした……。

Hank&Mark&JK:(ニヤニヤする)

noovy -《Singin' for you》MV

――(笑)。とはいえ、歌詞を聴いていると、「Singin’ for you」の「you」はnoovyのファンのみなさんのことでもありそうですね。

Shawn:そうなんです。実はそういうことで、そういう意味でもライブで歌ったときにファンのみなさんが曲に入り込めるような曲にしたかったんですよ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる