SHINeeは進化を続けていく メンバーとファンの絆を深めた東京ドーム公演レポ

SHINee、東京ドーム公演レポ

<すべての愛を君に 限りない感謝を君に>
力強く歌われた新曲「From Now On」。
SHINeeは、永遠に5人で“5HINee”。
これからもジョンヒョンを感じながら、メンバーは歌い続ける。
その強い決意が伝わってくる、東京ドーム公演だった――。

 大阪、東京で開催された4年連続のドームツアー『SHINee WORLD THE BEST 2018~FROM NOW ON~』を走りきったSHINee。ジョンヒョンとの突然の別れから日も浅い2月26日、東京ドームには国内外から多くのファンが駆けつけた。ファン同士も、お互いに手を取り、励まし合いながらこの日を迎えたのだろう。グッズ売り場は、かつてないほどの長蛇の列を作り、ドーム前のホテルの窓には“We ♡ SHINee”の文字や、メンバーの名前が掲げられ、ステンドグラスのように輝いていた。会場では、パールアクアグリーンのペンライトが灯り、その光は海のように広がっていく。すると、想いが共鳴するようにスクリーンにも静かな海が現れた。空には大きな満月。きらめく水面。流れる星たち。カメラは少しずつズームアウトし、地球、宇宙、そして銀河へ。当たり前だと思っていたこの空間は、数々の偶然が重なって成り立っていることを再確認させられる。オンユ、ジョンヒョン、テミン、ミンホ、キーの5人が出会ったこと、努力を続けてSHINeeとしてデビューしたこと、そんな彼らを知ったファンがこうして集うこと……それは広い夜空で同じ流れ星を見つけた奇跡に近い。

 <いつのまに今日が 昨日になってくんだろう>聞こえてきたのは「Colors of the season」。やさしいオンユの歌い出しに続くのは、ジョンヒョンのパートだった。代わりに歌うキーの声の中に、ジョンヒョンが見え隠れする。頭ではわかっていても、心が錯覚してしまうのだ。彼のいた幸せな時間が今もそこにあるのではないか、と。<キミを守るよ>ジョンヒョンの代わりに歌うテミンは、これまでにないほど頼もしく見えた。時を刻む音と共に、5人の歌声と数々の思い出がスクリーンに浮かんでは消えていく。時間が戻らないならば、せめてこの公演中はジョンヒョンがいる夢を見よう、そんな想いがこみ上げる。「Stranger」を力いっぱい踊るメンバーたち。ファンも全力の掛け声で盛り上げ、会場がひとつになっていく。そして、代表曲の「Everybody」へ。<キミ呼び起こせ!>のフレーズに、誰もが“ジョンヒョンに届け!”と祈った。

 「今回のライブに立つと決めてから短い時間でしたけど、みなさんにいい姿をお見せしたくて、一生懸命準備しました」とキー。5人で作ってきたSHINeeを守るために、ここに立つと決めたメンバー。その使命感に突き動かされた彼らは、気高く、儚げで、美しかった。「次のステージはSHINee5人の歌声を聴いてほしいと思います」スクリーンには「ジョンヒョン、今日君はここにいるよね?」とファンの心を代弁するかのような言葉が綴られたトリビュート映像。そして、ジョンヒョンのボーカル音源が加わり、5人の声で「Love」「君がいる世界」「Diamond Sky」が歌われた。過去のライブ映像のジョンヒョンとメンバーがスクリーンに同時に映し出され……現実と幻想が溶け合っていく。

 「Sherlock」には、<もしかしたら全部リアルな夢 目の前の君の姿も>という一節がある。姿形が見えなかったとしても、ジョンヒョンはこのステージにいるのではないだろうか。「Love Like Oxygen」愛や酸素のように、目に見えなくても確かに存在するものが、この世にはあるのだから。まぶたを閉じて「Hello」と声をかければ「TO YOUR HEART」に話しかけてくれる。5人のSHINeeが消えることはない。メンバーとファンとでこれからも手を繋いでいれば! その想いを確かめるようにメンバーは、「Dazzling Girl」を歌いながらトロッコで客席に近づく。「LUCKY STAR」「Downtown Baby」ではテミンとミンホが気球に乗り込み、上層階まで1人ひとりと目を合わせていく。テミンはまるで天使のように穏やかに微笑み、ミンホはこの空間を守るように雄々しい眼差しで両手を広げていた。地上では、オンユとキーが手を合わせるように近づいてみせたり、コミカルな動きでじゃれ合う。メンバーは泣くように笑い、ファンは笑うように泣いた。

 SHINeeは続いていくーー。その確信を持ったのは、クライマックスの「Hitchhiking」からの圧巻のパフォーマンスを見た時だった。真っ赤な衣装に身を包んだメンバーは、身体がバラバラになってしまうのではないかと感じるほど大きく激しく踊った。続く「Why So Serious?」も、思い出深い曲。どんなときもSHINeeは走り続けてきたのだと、自分たちに発破をかけるように。「君のせいで」も新しいアレンジが加えられ、進化を続ける彼らを印象づけた。そして“光をもたらす者”という意味を持つ「LUCIFER」で締めくくる。そのセットリストは、これからも光り輝くことでファンを導き続ける覚悟を見せるものだった。

 その決意に、ファンも大きなアンコールの掛け声で応える。「Sing Your Song」の<Sing Sing Your Song SING IT!>の大合唱は壮観だった。<涙を拭いて 君はもうひとりじゃない>と歌う「I'm with you」へ。ミンホは「このステージを通して、僕たちの気持ちが伝わっているとうれしいです」と語り、テミンも「みなさんの声と心が伝わりました。ありがとうございます」と続けた。そして「SHINee全員で歌った曲です」と、ジョンヒョンのボーカル入りの新曲「Every Time」を披露。スクリーンには、古いフィルム映画のような映像に、全員の名前が刻まれていた。5人の物語は決して終わることはないのだ。デビューシングル曲「Replay -君は僕のeverything-」が、新たな章の始まりの合図。メンバーは手を取り客席に向かって深く深く頭を下げ、1人ずつ言葉を探しながらファンに率直な気持ちを伝えた。

オンユ:いつものように、今日も一緒にステージを作ってくれてみなさんありがとうございます。僕たちとみなさんは同じことを感じて、(このライブを)共感できたと思います。これからもみなさんの幸せのために、僕たちは歌い、祈ります。

テミン:今まで、僕たちとみなさんで作ってきた想い出がよみがえってきてほんとに幸せでした。今日は、みなさんいろんな気持ちがたくさんあったと思いますが、悲しい思いも、楽しい思いも、絶対忘れない想い出にしてくれますか。これからはまた幕を開けて、もっと絆が固くなったSHINeeとして、そしてテミンとして歩んでいきます。見守ってください!

ミンホ:僕は、いつでもみなさんの力になれる強さがあると思っていましたが、その強さが正解ではないと気づきました。これからは、みなさんにもっと頼りながら、より近い存在になれるようにがんばります。このステージだけではなく、これからのステージも、いつでも5人で立っているという気持ちで臨みます。そして、みなさん、ひとつだけ約束してほしいです。永遠に、永遠に、ジョンヒョンさんを忘れないでほしいです。どんな言葉でも表現できないけど、大切で大好きだったと言ってあげたいです。いつも、みなさんが僕の希望です。この希望が消えないように、僕は努力をしていきます!

キー:今日ベストライブとして、デビューから10年間の思い出を、みなさんと一緒に歌いながら踊りながら思い出すことができたと思いますし、これからも活動していくSHINeeの姿も想像できたと思います。一緒に歌ってくれて踊ってくれてほんとにありがとうございます。このライブのタイトル、『FROM NOW ON』の意味と同じく、これからもがんばりたいですし見守ってくれたらうれしいです。あと今日のライブでジョンヒョンくんと一緒に歌うことができてすごくうれしかったです。皆さん、SHINeeは永遠に5人なので、ジョンくんを絶対に忘れないでください。

 鳴り止まないSHINeeコール。ダブルアンコールのステージには、ピンスポットで照らされた5本のスタンドマイクが並んだ。オルゴール音の奥から、かすかに聞こえる靴の音。真ん中に立つのは、目には見えないジョンヒョンだ。真っ白なスーツに身を包んだメンバーが脇を固め、ジョンヒョンの声と共に「From Now On」を熱唱した。<今日も君を忘れない どんな未来が待っていたって その愛が もっと僕を強くするから>この世界は、避けられない悲劇が起きる。だからこそ、音楽が人を繋ぐのだ。4月18日にリリースされるベストアルバム『SHINee THE BEST FROM NOW ON』は、“5HINee”が永遠に輝くダイヤモンド。その光はSHINee自身を照らしながら、ここからもっともっと強くなることだろう。

(文=佐藤結衣)

<SETLIST>
M01:Colors of the season
M02:Stranger
M03:Everybody
M04:Evil
M05:JULIETTE
M06:Love
M07:君がいる世界
M08:Diamond Sky
M09:Sherlock
M10:Love Like Oxygen
M11:Hello
M12:TO YOUR HEART
M13:Dazzling Girl
M14:LUCKY STAR
M15:Downtown Baby
Band+Dancer Performance
M16:Hitchhiking
M17:Why So Serious?
M18:君のせいで
M19:LUCIFER
E01:Sing Your Song
E02:I'm with you
E03:Every Time(新曲)
E04:Replay -君は僕のeverything-
WE:From Now On(新曲)

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