J☆Dee'Z、グループが“あと一歩”を踏み出したWWW Xワンマン

J☆Dee'Z、WWW Xワンマンレポ

 J☆Dee’Zが、3月9日にWWW Xにてワンマンライブ『Feeeeel!!! 2018』を開催した。

 今回のライブが発表されたのが、半年前の渋谷duo MUSIC EXCHANGEでの公演『J☆Dee'Z LIVE 2017 -Colorful J☆Dee’Z-』。その間に、彼女たちは11月に7thシングル『ひとひらの涙 / カラフルジャンプ』、そしてライブ開催直前には1stミニアルバム『あと一歩』をリリース。1年前の代官山LOOP公演から恒例となった生バンドを従え、2作品の楽曲を披露していくのはもちろんのこと、MOMOKAの高校生としてラストライブという、グループが“あと一歩”を踏み出す意味合いを持ったライブでもあった。

 まずは、バンドメンバーの佐々木望(Gt / Soulife)、山本蓮(Ba)、田中航(Dr)、山下健吾(Key)、林洋輔(Sax)、関山博史(Tb)がステージへ。続いてami、Nono、MOMOKAが姿を見せる。ライブの開幕を告げたのは青春の思い出を歌った「Melody」。3人の美しいハーモニーとボディパーカッションの力強いダンス、アコースティックギター、ドラムが重なり合い、イントロを奏でるキーボードの華やかな音色を合図に、会場は一気に色めき立つ。岡村靖幸のカバー「だいすき」では、マイクスタンドを軸に、息のあったダンスを見せる。満員の会場はすでに熱狂的な高揚感に満ちており、落ちサビにて3人はそれぞれオープニングから着ていたパーカーを脱ぎ捨てた。続く「Fun Time Funk!!!」でファンクナンバーの連続に思わずニヤリとさせられる。生音でのソウルミュージックに、会場はゆらゆらと横に揺れていく。『あと一歩』収録の「Crazy For You」も、跳ねるビートが特徴的な楽曲。パワフルかつ妖艶なオーラを纏った3人のダンスが光った。

 Nonoが「タイトルの『Feeeeel!!!』っていうのは、今しか感じられないものをみなさんと感じていきたいなと思って」と話し、amiが「一体になりたいと思っているので、次はすごく可愛い曲を用意してきました」と「横浜ラブストーリー」へと繋げる。横浜の名所が歌詞に散りばめられた可愛らしい楽曲で、先ほどとは違ったJ☆Dee’Zのキュートな一面を覗かせる。MOMOKAが「いろんな挑戦をするきっかけになった曲」と紹介した「Answer」では、キレのあるボディーパーカッションと、伸びやかな歌声で再びオーディエンスのテンションを高めていく。特に、アカペラからボディーパーカッション、大サビへと突入していく爆発的な盛り上がりは圧巻の一言。路上ライブで何度も、何度も磨き続けた3人のコミュニケーションがあってこそのパフォーマンスである。

 ORESKABANDプロデュースの大人な楽曲「ORIGINAL」を挟み、一人ひとりのソロコーナーへ。トップバッターのamiは、自身が上京した際に励まされたという槇原敬之の「遠く遠く」、MOMOKAはあいみょんの「君はロックを聴かない」、Nonoはコレサワの「たばこ」をコンテンポラリーダンスを交え披露した。ライブ折り返しでは、MOMOKAが一人ステージに現れる。ワンマンライブのこの日は、彼女の高校の卒業式前日。『あと一歩』に収められている「三月」は、まさにMOMOKAの高校卒業にぴったりの前向きな旅立ちの楽曲だ。〈一緒に素敵な大人になろうね〉という歌詞を引き合いに、MOMOKAはJ☆Dee’Zのファン“Jeweler”も、一緒に時を過ごしていく、一緒に大人になっていく仲間だと話す。MOMOKAがソロで歌い出し、追ってamiとNonoがステージに出てきてボーカルに加わる。そこで待っていたのは、ファン有志による桜を表すピンクのサイリウム。曲中にはMOMOKAが、ぐっと涙を堪えながらも声を詰まらせるパートもあった。

 続く“盛り上がる4曲”「Dream Arch」「Let the music flow」「Dance Dance Solution」「カラフルジャンプ」でフロアの温度は最高潮に。本編ラストを迎え、MOMOKAはステージがより楽しいと思えること、NonoはJ☆Dee’Zを信じたいと思う気持ちが強くなったことを話す。J☆Dee’Zが結成して8年。amiは、これまでがすごく短かったと振り返り、3年前のデビュー前日に3人が集まった時の話を始めた。「23時、駅のホーム。目に見えるものがもらえるわけでもない。でも、あと1時間でデビュー日が来ちゃうんだと思ったら、何かが変わるんだと思ったら離れたくなくなっちゃって、みんなで円陣組みながら泣いてたの」「あと一歩って言葉だと、まだ届いてないって思われちゃうかもしれないけど、今の私たちの1日1日は、そんなあと一歩の積み重ねでここまで来たんだから、それは全然恥ずかしいことじゃなくて。私たちのゴールなんて決めたくないから、あと一歩、あと一歩って毎日心の中に思って過ごしていこうって思ったんですよ」。その気持ちを忘れないように、音楽にしたのが「あと一歩」だ。女子バスケットボールのトップリーグ・Wリーグ応援ソングのこの楽曲は、振り付けやサウンドにバスケットボールをイメージさせる部分がいくつかある。MVも千葉県立幕張総合高校ダンス部とコラボレーションした、ポジティブな応援ソングだ。〈Ohhh yeah〉というかけ声、真っ直ぐなメロディに、2番サビのブレイク、大サビにかけての転調しての盛り上がりは、誰しもの熱いエールとなる楽曲だ。

 アンコールには、スタッフからMOMOKAへと手紙が渡され、3人にもサプライズの8月に開催する東名阪ツアーが発表された。J☆Dee’Zは、昨夏に東名阪ツアーをかけた企画を行っていたが、惜しくも実現できずにいた。およそ3年ぶりとなるワンマンツアーは、かねてよりファンが待望にしていたものでもある。ライブのラストに3人が選んだ楽曲は、往年のディスコチューンを彷彿とさせる「DISCO WINNER」。揺れながら、ダンスを踊りながら、一緒にクラップをする、タイトル通りの“感じる”を体現したナンバーで、ライブは幕を閉じた。メジャーデビューから3年。MOMOKAが高校を卒業し、来年はamiが、その翌年にはNonoが高校を卒業する歳にいる。大人と子供の狭間を生きる彼女たちは今しか感じられない、そう思わせられた公演だった。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■セットリスト
1.Melody
2.だいすき
3.Fun Time Funk!!!
4.Crazy For You
5.横浜ラブストーリー
6.Chocolate
7.Answer
8.ORIGINAL
9.遠く遠く
10.君はロックを聴かない
11.たばこ
12.三月
13.全部好き。
14.Dream Arch
15.Let the music flow
16.Dance Dance Solution
17.カラフルジャンプ
18.あと一歩
EN1.MORNING HOPE
EN2.ひとひらの涙
EN3.DISCO WINNER

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