ZAQ、fripSide、綾野ましろ、暁月凛、Roys…多彩なサウンド楽しめる“アニソン”の新作

 作家としても才能を発揮しているZAQのニューアルバム、15周年を経て新たなタームに突入したfripSideなど、アニソンシーンで活躍するアーティストの新作を紹介。日本のエンターテインメントのど真ん中を形成するようになって10数年、多彩な音楽が堪能できるアニソンの世界はさらなる成熟の時期に入っているようだ。

ZAQ『Z-ONE』(通常盤)

 内田真礼への楽曲提供、数多くのキャラソンを手がけるなど、作家/クリエイターとしても活躍するZAQの3rdフルアルバム『Z-ONE』。軸はもちろんアニソン(「カーストルーム」/TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』オープニング主題歌)、「Last Proof」/『劇場版トリニティセブン 悠久図書館と錬金術少女』主題歌)なのだが、ノンタイアップの新曲も秀逸。ロックとファンクが激しく絡み合う「Zone」、ドラムンベース的トラック、美麗なピアノの旋律を軸にした「ロストグロウ」しなやかなソウルネスとジャズのエッセンスを含んだポップチューン「ordinary it」などジャンルの垣根を融合した楽曲は、クラシック、ブラックミュージックを経てアニソンに辿り着いた彼女の軌跡そのものだ。楽曲のテイストによって色味を変えるボーカルも魅力的。

ZAQ「Zone」/ 3rd ALBUM『Z-ONE』リード曲 - Music Video Short Size
fripSide『divine criminal』(通常盤)

 昨年3月に15周年を記念したさいたまスーパーアリーナ公演を成功させ、初期の楽曲をセルフカバーしたアルバム『crossroads』をリリースするなど、これまでのキャリアを総括するような活動を行ってきたfripSide。前作『killing bites』(TVアニメ『キリングバイツ』オープニングテーマ)に続く2018年第2弾シングル表題曲「divine criminal」(TBS系TVアニメ『されど罪人は竜と踊る』オープニングテーマ)は、エキゾチックかつドラマティックな旋律、ユーロビート的ないたなさを感じさせるレトロフューチャー的トラック(≒90年代の小室哲哉)など、このユニット本楽の特性を改めて示す楽曲に仕上がっている。音楽的な軸をしっかりとキープしながらアニメの世界観に寄り添う、“アニソン系アーティスト”の理想形だと思う。

【fripSide】5月16日発売「divine criminal」CM
綾野ましろ『衝動』

 綾野ましろの7thシングル表題曲「衝動」(TVアニメ『グランクレスト戦記』後期エンディングテーマ)は、タイトル通り“心から突き動かされるような衝動“をストレートに表現したロックナンバーだ。ポイントは<誰にも染まらない/理想はその手にあって>というライン。J-ROCKをルーツに持ち、エモーショナルなボーカルを武器にアニソンシーンでの存在感を確実に増している彼女のスタンスは、この歌詞によって端的に提示されていると言っていいだろう。さらに前作『starry』と同様、ライブ音源「綾野ましろ One-man Live 2016 WHITE PLACE」も収録。オーディエンスをめいっぱい煽り、爆発的なテンションとともに響く彼女の歌声を体感すれば“ライブを観てみたい“という衝動を覚えるはずだ。

綾野ましろ 『衝動』TVアニメ「グランクレスト戦記」後期EDテーマ

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