超特急、怒涛のエンターテインメントと新機軸 「Sweetest Battlefield」東京公演レポ

超特急「Sweetest Battlefield」東京公演レポ

 メンバー6人体制となって一発目のアリーナツアー『BULLET TRAIN ARENA TOUR 2018 「Sweetest Battlefield」』の東京公演2daysを、武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナで行った超特急。同ツアーは、ワンマンでは初となる360度ステージで行われることが事前にアナウンスされていた。何やら意味深なタイトルでもあるが、2日目のライブ前に行われた囲み取材では、6人が意気込みや見どころを次のように語ってくれた。

 2号車・カイ「僕らは春にアリーナツアーをやるのが初めてなんですよ。5、6月から大きな会場でたくさんの8号車(超特急ファンの愛称)の方に会えて、すごく幸せです。360度のステージのほかに、見どころとしてはカラーガードという大きなフラッグを回したりするパフォーマンスがあるんですけど、全員が初挑戦なので試行錯誤しながらなんとか本番を迎えられました。あとは新曲の『Party Maker』が、ダンサーもめちゃめちゃ踊りますし、ボーカルのタカシは歌いながら腹筋したりして、全員がMAXの体力を使ってる曲なので、8号車のみなさんも全力で踊って叫んで、騒いでいただければ」

 3号車・リョウガ「1日目のMCで言いましたけど、これまでで1、2位を争うレベルで大変なライブで、もう体力の限界を超えそうなんですけども(笑)。でもハードな分、参加していただいた方には満足感があって、楽しめる内容になっているんじゃないかと思います!」

 4号車・タクヤ「昨日やってみて、後ろを向いてもお客さんがいるっていう僕たちにとっては気が抜けないようなステージでしたけど、すごく楽しかったです。曲数も多いし、より8号車のみなさんと一つになれた感じがしました。僕的にも見どころは、『fanfare』でのカラーガード。みんなの背中を押せるような応援歌なので、このパフォーマンスがすごく映えると思うんです。ただ、一瞬のミスも許されないので、集中して頑張ります」

 5号車・ユーキ「今回は2時間半を超えるくらいの超特急史上最長のライブになりますし、タイトルは『Sweetest~』なんですけど、甘さを感じないような激しいライブで、もはや“Exciting Express”みたいな!?(笑)。東京と神戸は違う内容になっていて東京はこの2日間だけなので、1回1回を大切にしたい。今回のセットリストの中では『Billion Beats』という曲が、今聴いてみて改めていい曲だなと思ったので、円形のステージでいつもとは違った形で見せるこの曲に注目してもらえたら」

 6号車・ユースケ「僕的な見どころは今回初披露となる『SAY NO』という曲で、自分が遊びでやっていた振りが採用されてるんです。その部分をぜひ、見ていただけたらなと思います!」

 7号車・タカシ「今回は、360度のステージでどれだけ8号車のみんなを楽しませることができるんだろうか? とみんなで考えて考え抜いた、ド派手なツアーになります。個人的にはこのツアーで初披露になる『Feel the light』が、これまでの超特急では見られなかったんじゃないかな? という雰囲気のパフォーマンスになるので、僕らの新たな武器になるようなその世界観を楽しんでもらえたらと思います」

カイ(2号車)
リョウガ(3号車)
タクヤ(4号車)
ユーキ(5号車)
ユースケ(6号車)
タカシ(7号車)
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カイ(2号車)
リョウガ(3号車)
タクヤ(4号車)
ユーキ(5号車)
ユースケ(6号車)
タカシ(7号車)
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 円柱型のLEDビジョンの中に隠されていた、噂の360度ステージ。アグレッシブなブレイクビーツ系の新SEが終わると、挑発的な6人の表情を映しだしていたビジョンが上方へと消え、白いナポレオンジャケットに身を包んだ6人が現れた。

 アッパーな「超ネバギバDANCE」、リョウガを筆頭にメンバーがヘン顔&全力のヘドバンを繰り出す「超えてアバンチュール」といったハイテンション系ナンバーで滑り出した、この日のステージ。3曲目の「OVER DRIVE」では、メンバーがトロッコでアリーナ全体をかけめぐり、ステージから離れたエリアも含めた四方の8号車に手を振ったりと、ファンサービスをしながら会場を温めていく。押しの強い曲の多かった序盤でも、もっともアッパーなサウンドで新たな超特急像を印象付けたのが、最新シングル『a kind of love』のC/W「SAY NO」だ。コミカルかつ劇画チックな動きの多いこの曲では、先述のコメントにもあったとおり、ユースケがサビ部分の振りを考案。ユラユラと揺れるような摩訶不思議なダンスと<NAI NAI NAI NAI NAI!>のリフレインで会場がトランス状態になる中、ボーカルのタカシがところどころで激しくシャウトしていたのも新鮮だった。

 自己紹介のMCを挟み、ここからはややしっとりと聴かせる曲を続けていく。メンバーカラーをあしらったステージが上下し、各メインダンサーのソロパートを美しく引き立たせた「Starlight」。タカシのウェットな歌声と同曲のセンター・タクヤのドラマティックなダンスがシンクロする「Billion Beats」……。曲中での「これからもたくさんの最高な時間を作りましょう。大好きです」(タクヤ)、「これからも最高の鼓動を共有していきましょう!」(リョウガ)という、いつになくストレートなメッセージにも会場全体が大いに沸いた。

 いったんステージからはけたメインダンサーに代わり、タカシが一人きりで歌いながら会場を盛り上げたのは「Clap Our Hands!」。こういったソロパフォーマンスはもちろんだが、歌、ダンスともに新たに担った役割も多かった今回のツアーで、柔らかい笑顔の向こうに“末っ子担当”らしからぬ芯の強さを垣間見た気がした。

 続く「My Buddy」からは、怒涛のメドレーゾーンに突入。カイ、リョウガ、タカシがセクシーなニュアンスで会場の温度を一気に上げた「DJ Dominator」、タクヤ、ユーキ、ユースケがアクロバティックなダンスで魅せた「Turn Up」と、メンバーが2組に分かれてバトるようにパフォーマンスを繰り広げていく。

 晴れやかでスケール感のある「fanfare」では、コメントにもあったカラーガードを使った勇壮なパフォーマンスに挑戦した6人。1m近くあるカラーガードを宙高く投げてキャッチしたり、2人ずつコンビになってトスするなど、かなり難易度の高いパフォーマンスで会場を大いに沸かせていた。

 メインダンサー5人が激しく踊りまくるDANCEナンバーに続いて、白いライトに照らされたタカシがゆっくりと登場した。初コラボとなるTAKAHIRO(世界的に活躍するダンサー)が振付を手掛けた新曲「Feel the light」は、葛藤する精神状態を表現するようなアクロバティックな動きが独創的なナンバー。変拍子的なカウントなども入り、ファルセットの多いタカシの歌唱とともに、超特急の新機軸といえる世界観が展開されていった。

 8号車がステージの空気に呑まれている間に、曲はアッパーな「We Can Do It」へと移っていく。挑発的な表情を見せつつ、メンバーが2人ずつ対になりセクシーに腰をくねらせる6人に悲鳴が上がった。超特急といえば8号車との息の合ったやり取りが印象深いが、「バッタマン」では、新体制に合わせて提案されたコールが響き渡り、会場中がハイテンションな空気感に包まれた。再びメンバーがトロッコで会場を駆け巡った「浮つきWAVES」では、タクヤが狂ったようにタオルを回し、タカシが「もっとハジけろ8号車!」と歌詞を変えて8号車を煽っていく。そんな本編ラストのナンバーは最新シングル曲の「a kind of love」。ダンサー陣もヘッドセットでワイワイと参加しつつ、にぎやかに締めくくった。

 MCをほとんど入れずほぼノンストップのステージだったが、アンコールにはそれを上回る超怒涛の展開が待っていた。先日MVも公開され話題を呼んだTAKAHIRO振付のもう一つの新曲「Party Maker」では、メンバーが馬飛びやアクロバットを展開するなど、まさに運動量MAXレベルのパフォーマンスを披露。ここで「みんなの声を聞かせて!」とユースケが叫び、ステージは「Burn!」へ。8号車とメンバーが一斉にクロスサインをきめるライブの定番曲だが、これまで代表メンバー1人が歌ってきた落ちサビを、この日は6人と8号車が声を合わせて歌い上げた。感動的なこの場面を、この日のハイライトとして記憶した人も多いのではないだろうか。

 エンディングのMCでは、ハードすぎる2時間半を「身を削って魂を削るほど、楽しいのがライブです!」(リョウガ)と振り返っていた彼ら。ラストナンバー「走れ!!!!超特急」での6人の明るい表情からは、今できることを全力でやりきった達成感が感じられた。

 東京公演2daysでは、ニューシングル『Jesus』のリリース、主宰フェス『“超”超フェス』の開催、冠番組『超特急の食べ鉄 タイ編』のスタート、そして念願のさいたまスーパーアリーナ公演を含む年末年始ツアー『GOLDEN EPOCH』と、さまざまなニュースも解禁に。パフォーマンスに焦点を絞ったステージ構成も含めて、ファンの期待値を大きく更新した新体制の超特急。次なる神戸2daysでは、果たしてどんな姿を見せてくれるのだろうか。

(撮影:米山三郎、冨田望、西村廣起、山下陽子)

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集を経て、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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