KANA-BOON、アジカンとの本気決戦で見せた“ロックの血の継承” 対バンツアー東京公演レポ

KANA-BOON、対バンツアー東京公演レポ

 まだまだ関東は梅雨入り前だが、珍しく雨模様の、少し落ち着いた気持ちで迎えた5月終わりの平日、水曜日。KANA-BOONが、自分たちと深く関わりのある、青春時代からともにしてきた先輩バンドを招くというコンセプトで行われる東名阪3カ所の『KANA-BOONのGO!GO!5周年!シーズン2 東名阪対バンツアー「Let’s go TAI-BAAN!!」』。初日Zepp Tokyoより、先輩との1対1の本気決戦がスタートした。

 今回のツアーでは東京でASIAN KUNG-FU GENERATION、愛知ではORANGE RANGE、そしてラスト大阪はフジファブリックと続く。いずれも、KANA-BOONの世代的な意味でも、影響を強く受けてきた3組である。特にこの初日の対バン相手であるアジカンは、KANA-BOONにとっては間違いなく、これまでのバンド人生で最も特別な存在と言い切れる“先輩”だ。

 先攻、先輩であるアジカンが登場すると「サイレン」「Re:Re:」「リライト」などMCを挟むことなく、誰もが聴き馴染みのあるキラーチューンを立て続けに披露していく。基本的には“KANA-BOONの対バン相手”であるはずだが、ここアジカンのライブ会場だったっけ? と錯覚するほど、みるみるうちに会場全体が熱を帯びる。

 「どうもありがとう、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです。KANA-BOONは、僕らのオープニングアクトを決めようというオーディションから出てきたバンドですが。すっかり立場も逆転して、今日はオープニングアクトに選んでいただいて嬉しいです。レーベルの後輩であるKANA-BOONが売れたお金で僕らは細々とアルバムを作ってます」と、同じレーベル仲間としてのジョークも交えつつ、フロントマン後藤正文が「いつもKANA-BOONには好きって言ってもらって嬉しいです。好き好き同士が集まっているんだから楽しい夜にしましょう」と話すとオーディエンスも今日のこの対バン主旨をさらに理解し、熱さと同時にとても和やかな雰囲気に。

 アジカンは後半パートでなんと、2003年の1stシングル『未来の破片』に収録されている「エントランス」を演奏(筆者も、あまりに久々に彼らのライブで聴き、イントロのギターソロの時点で懐かしさに息を飲んだ)。

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 「音楽は世代を超えてさ、いいよね。こうやって自分たちが作った曲をコピーしてくれていたようなバンドに会って。でも嬉しさ半分、傷つき半分です。中学生の時聴いてました! とかって(あ、じゃあ今はもう聴いていないんだよね)と。その点、(谷口)鮪くんは『Wonder Future』ってアルバムがいいんです! とか話してくれて」と話す後藤。もしかすると先ほどの「エントランス」は、長きに渡り自分たちのことを変わらず愛してくれている最高のファンKANA-BOONへの特別な想いを込めた初期曲の贈り物だったのかもしれない。

 全9曲を演奏したアジカンの後、いよいよKANA-BOONが登場。のっけから「シルエット」「ディストラクションビートミュージック」「Fighter」とおなじみのアップビートな曲たちで会場を大いに盛り上げる。「5周年おめでとう~!」という声がオーディエンスから飛ぶ中、MCで谷口鮪(Vo/Gt)はこう話した。

 「今日はアジカンに出ていただきました。長年の夢が叶いました。俺ら、ずっとアジカンが好きだし、(ASIAN KUNG-FU GENERATION 1stフルアルバム)『君繋ファイブエム』とかは本当に青春が詰まっているんだけど、でもやっぱり最近のアジカンが一番かっこいい。最新が一番かっこいいバンドっていうのが、一番かっこいいな、と思って、僕らも新しい曲を作って、今日出しました~!」

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