Suchmos「VOLT-AGE」は日本を代表するアンセムに? 海外ミュージシャン×サッカー例から考察

Suchmos新曲、日本サッカーのアンセムに?

 現在、世界各国を熱狂させている『2018 FIFAワールドカップ ロシア』。6月19日に行われた日本×コロンビア戦では、2対1で日本が勝利を収め、日本中が歓喜に沸いた。続いて、24日に行われたセネガル戦でも2対2と勝ち点1を掴み取り、決戦トーナメント進出に向けて今、さらに盛り上がりを見せている。来たる28日17時(現地時間/日本時間28日23時)にはポーランド戦がキックオフ。今年のワールドカップは、これまで以上に国民からの期待と注目を集めている印象だ。

 そんな中、日本代表をサポーターたちとともに支えているのが、各局のテーマソングである。“2018フジテレビ系サッカー テーマ曲”にはRADWIMPS「カタルシスト」、“日本テレビ系ロシア2018テーマソング”にはNEWS「BLUE」、“2018 TBSサッカー中継テーマソング”にはEXILE「Awakening」。そして、“2018 NHKサッカーテーマ”に起用されているのが、Suchmos「VOLT-AGE」だ。(参考:Suchmos、RADWIMPS、NEWS、EXILE……2018年W杯を盛り上げる各局テーマソングに注目

 世界的にみても、ミュージシャンとサッカーの結びつきは強い。たとえば、Travis「Peace The Fuck Out」×セルティックFC(バンドの地元でありフラン(Vo)が応援するグラスゴーの名門サッカークラブ)や、Kasabian「Fire」「Club Foot」×レスター・シティFC(セルジオ・ピッツォーノ(Gt)とトム・ミーガン(Vo)が少年時代から熱狂的なサポーターであるイングランドのプロサッカークラブ)、Oasis×マンチェスター・シティFC(熱烈なサポーターであるギャラガー兄弟の地元チームで、OASISが多額の寄付を実施したイングランドのプロサッカークラブ)などだ。またリヴァプールのマージービートバンド、Gerry & The Pacemakersの「You’ll Never Walk Alone」(1945年のミュージカル『回転木馬』のためにリチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン2世によって制作された同楽曲を1960年代にGerry & The Pacemakersがカバーしたもの)は、彼らが敬愛する地元のサッカークラブ“リヴァプールFC”のサポーターソングであり、今では世界中のサッカークラブのサポーターたちにも歌われて親しまれている。

 平時は川崎フロンターレを応援し、代表では大島僚太に熱い視線を注いでいる、サッカーへの造詣も深い音楽ライター麦倉正樹氏は、選手とサポーターを支えるサッカーソングには、故郷への思いが感じられるものが多いと語る。

「Manic Street Preachers(以下、マニックス)が、『UEFA EURO 2016』の際に手がけたウェールズ代表の応援歌『Together Stronger』は印象的でした。イギリスには、“イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド”という4つの代表チームがあるのですが、マニックスの出身であるウェールズは、マンチェスター・ユナイテッドのレジェンドのひとりであるライアン・ギグスの出身地でありながらも、長い期間国際大会に出場できていませんでした。しかし、現在はレアル・マドリードに所属するガレス・ベイルの活躍もあり、『UEFA EURO 2016』で58年ぶりに国際大会に出場(ユーロの出場は初)し、マニックスは約10年間寝かせていたウェールズ代表の応援歌を発表。『Together Stronger』は、メロディがキャッチーであるだけでなく、オフィシャルビデオにウェールズの選手や監督が出演したり、歌詞にウェールズの選手であるガレス・ベイルやアーロン・ラムジーが何度も登場したりするなど、ウェールズへの強い愛が感じられます。そのため、多くのサポーターの心を鷲掴み、さらなる熱狂へと誘いました。まさに代表チームを音楽で支えたバンドです」

 また前途した「You’ll Never Walk Alone」という言葉。実はSuchmos「VOLT-AGE」の歌詞にもサビ前に登場している。Suchmosも地元・神奈川のプロサッカークラブ“横浜F・マリノス”の下平匠選手、杉本大地選手、富樫敬真選手と昨年チーム会報誌にて対談したり、横浜F・マリノスの選手たちがSuchmosのライブに訪れ熱狂したりと交流が盛んである。Suchmosというバンドは、地元愛はもちろんのこと、サッカーへの愛も深い。

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