callme、“楽曲派”アイドルが打ち出す良質な音楽 サブスク時代にふさわしい新アルバムを解説

callmeサブスク最適化の新作を聞く

 callmeというグループの音楽を生みだしているのは、膨大な量の音楽のインプットにほかならない。以前彼女たちにインタビューした際、国内外のチャートをチェックして音楽の潮流を把握している博識ぶりに驚かされたものだ。アイドルでありながらセルフプロデュースで音楽を作るために、callmeは人知れず並々ならぬ努力をしている。そんな彼女たちが生みだした音楽をまとめたベスト盤的なプレイリストアルバムが、7月4日に配信される『Please callme! -20152018-』だ。

 callmeは、KOUMI、RUUNA、MIMORIによる3人組。もともとDorothy Little Happyのメンバーであった彼女たちは、Dorothy Little Happyと並行してcallmeの活動をスタートさせ、2015年にはcallmeとして完全に独立。MIMORIが作曲、KOUMIが振り付け、そしてRUUNAら3人で作詞を行うセルフプロデュースのグループとしての活動を本格化させた。音楽面だけではなくビジュアル面までセルフプロデュースをしているのがcallmeだ。

 『Please callme! -20152018-』の収録曲を見れば一目瞭然だが、曲名はすべて英語。それはグローバルなマーケットを目指すためだ。その目標が決して大袈裟ではないことを物語るのが『Please callme! -20152018-』の楽曲群である。

 「Confession」や「I'm alone」のようにピアノがサウンドを牽引していく楽曲が多いのも特徴で、「Sing along」のような本格的なピアノジャズもある。「Sing along」では、リズムのハネる感覚をcallmeのボーカルが見事に表現している点も注目されるべきだろう。

callme / Sing along -Music Video-

 「In my dream」は、細かくエディットされたアコースティックギターで幕を開け、そこからEDMへと展開していく。ボーカルを重視するグループであると同時に、ボーカルの大胆な処理も平然と行われている。「My affection」もEDMだが、途中で突然エレクトロにも変化する。

 一筋縄ではいかない楽曲も多い。「Way I am」では、ピアノ、エレキギター、パーカッションが大きなアクセントになっているサウンドが、後半でジャジーな展開をしていく。非常にアグレッシブである。また、「All I need」はストレートなポップスのようでいて、エレクトロとギターが異様な高揚感を生みだしていく。

callme / Hello No Buddy -Lyric Video-

 執筆時点での最新シングルである「Hello No Buddy」は、callmeのボーカルグループとしての実力を堪能させるR&Bナンバーだ。RUUNAをメインボーカルとして、彼女の音域の良い部分をいかすことを心がけてMIMORIが作曲したことも、この楽曲を秀逸なものにしている。同じくミディアムナンバーの「Precious」では英語でラップをしており、ボーカルも英語詞と日本語詞によるものだ。

 そして『Please callme! -20152018-』の本編の最後を飾るのが10分以上に及ぶ「It's own way」だ。フューチャーベースが鳴り響いたかと思えばロック化し、さらにミディアムへと展開。最終的には高速ダンスナンバーへと変化していく。callmeのさまざまな要素が凝集されたかのようなトラックだ。

 また、『Please callme! -20152018-』には新進気鋭のプロデューサーによるリミックスも3曲収録。<Maltine Records>から作品をリリースしたこともあるAiobahnは、「Hello No Buddy」をダンストラックにしてしまった。ボーカロイド・プロデューサーにして自身も歌唱する有機酸は、「I'm alone」をアンニュイさの漂うダンストラックに。AmPmの編曲も手がけたChocoholicは、「In my dream」に独自のビート処理を施している。

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