w-inds. 橘慶太×KREVA対談【後編】 “オタク”が最強の時代? 突き詰めることの重要性を考える

橘慶太×KREVA対談【後編】

 3人組ダンスボーカルユニット・w-inds.のメンバーであり、作詞・作曲・プロデュースからレコーディングにも関わるクリエイターとして活躍中の橘慶太。彼がコンポーザー/プロデューサー/トラックメイカーらと「楽曲制作」について語り合う対談連載「composer’s session」の第2回ゲストは、KICK THE CAN CREWのメンバーであり、ヒップホップソロアーティストとしても活動するKREVA。後編となる本記事では、それぞれのプライベートな制作環境の話題から橘慶太が考える“オタク最強説”までざっくばらんな音楽談義が繰り広げられた。【前編はこちら】(編集部)

家派?スタジオ派? 2人の制作環境の違い

慶太:曲はどのくらいのペースで作っていますか?

KREVA:時期によって違うけど、入れる時はずっとプライベートスタジオにいるようにしてる。とりあえず何も考えずにスタジオに行くようにしていて、行けば絶対作れると思ってるから。家に機材はある?

慶太:僕は家に全部。家の一部屋をスタジオにしているタイプですね。

KREVA:俺は家に何も置かないタイプ。

慶太:ダメですか? 家。

KREVA:ダメじゃないよ、やれるよ。でもやっちゃうんだよね。

慶太:なるほど。ずっとやっちゃうのが……。

KREVA:やっちゃうからダメ。

慶太:逆に家では何を?

KREVA:お酒が大好きだから1人でも飲むね。あと最近愕然としたんだけど、俺、よくYouTubeを見るんだけど、履歴が見れるじゃん。あれ見たら「○○ in the studio」っていう映像が15個ぐらい並んでた(笑)。

慶太:家でハウツーを見てるKREVAさん(笑)。僕もしょっちゅう家で見てるんですけど、それこそご飯食べながらとか(笑)。

KREVA:いい時代だよね(笑)。

慶太:でも、なおさら家に機材があった方が良くないですか? ハウツー見てその場で試したくなりません?

KREVA:なるよ。でも試さない。見る時は見る! 家に機材を置いちゃうと、音楽を聞いたり、見たりすることが趣味じゃなくなっちゃう気がするんだよな、多分。制作に直結しちゃうのが嫌というか。だからあんまりいいスピーカーも家には置かないようにしていて。でも、どうしてもやらなきゃいけない、間に合わない時はノートPC開いて、Pro Toolsで作業したりはする。家で作った曲もあるにはあるんだけど、本当に遊び。スケッチみたいな感じかな。

慶太:やっぱりちゃんとしたスタジオがどーんとあると住み分けができていいですよね。

KREVA:間違いないね。

慶太:スタジオはどれくらい使ってるんですか?

KREVA:キックの時からずっと使ってるんだけど、改造改造改造でどんどん良くなってる。社長がインテリア好きで、スタジオの壁に小麦か何かの袋を再利用した麻のシートみたいなのを全面に貼ったの。そしたら急に音の吸いが良くなった。

慶太:麻ってすごいいいんですよね。僕も麻にこだわってるんですよ。麻は音が反射し過ぎないんです。吸収して抜けるのと反射する成分がちょうどよくて。

KREVA:なんかすごい話になってるけど(笑)、でも本当に音が良くなった。スタジオだとやってみないとわからないというのがあるしね。

慶太:そうなんですよね。試してみて悪くなる時ももちろんありますし。

KREVA:『劇的ビフォーアフター』で入った瞬間にちょっと顔色曇るタイプの親子みたいな(笑)。スタジオ何個か欲しいなと思ったりもするんだけど、今のところ鳴りもいいし、ずっと使ってるしここでいいかなと。

慶太:セッションはしないんですか? 例えば海外のコライトスタジオに入ったり。

KREVA:しないね。だけど最近バンドとライブをやってて。そのバンドメンバーと最近レコーディングをする機会が増えてきて。それは楽しいね。

慶太:生音で録って。

KREVA:そう、録って編集させてもらったりとか。

慶太:いいですね。

KREVA:すごく勉強になってる。あとこの間、KICK THE CAN CREWの曲で蔦谷好位置くんと仕事をすることになって。こうちゃんはもともとMPCで打ち込みをしていた人だからそういう理解もあって、キューベースなんだけど仕事が鬼早い。

慶太:僕も1回スタジオに行ってみたら早かったですね。

KREVA:早いよね。「せっかちなんだよ」って言ってたけど、決めるのがすごく早くて刺激になったな。こういうやりかたもあるなと思って。

慶太:同年代になるんですか?

KREVA:そうだね、全くの同い年。俺がキックでバーって売れた時にこうちゃんもワーナーにいて。CANNABISってバンドをやってたんだけど売れなくて、「上がってんの、下がってんのじゃねえよ、ちぇっ」って思ってたんだって(笑)。でも今は仲良く楽しく、それこそ一緒にいつも聞いてる曲でSoundCloudじゃんけんとかやったりしてる(笑)。

誰かがいいと言ってるものは買う時の自信にもなる

慶太:楽曲制作で大切にしていることはありますか?

KREVA:周りの反応を見てこれはちょっと押していきたいってなったらまたやり直してみたりすること、あとは思いつくままっていうのと、「あっ!」と思った機材があったらなるべくちゃんと見に行って買うのは使命だと思ってやってる。だから、プラグイン警察は頼んだ(笑)。

慶太:僕、プラグインはほぼチェックしてますね。

KREVA:でしょ。我々みたいに音楽やれてる人たちが買って、ちょっとあのプラグインよかったよとか、よくなかったよって伝えていかないと。ハードなんて7万も8万もするのに、少年が勇気を出して買ってダメだったら辛い。だとしたらやっぱり俺らみたいなのが買って、発信していくことが大事かなと思ってて。

慶太:それはめちゃくちゃ大切ですね。

KREVA:だからなるべく慎重に楽器屋で……いや、全部買えるんだよ(笑)。だけどこれはちょっと俺は買わないとか、選別はちゃんとやってる。側(デザイン)が愛せるかとかも含めて。

慶太:側も気にされるんですね。

KREVA:すごい大事。

慶太:ちなみにマイクのお気に入りはあるんですか?

KREVA:マイクはBLUEのKiwiをなぜかずっと使ってます。

慶太:ありますよね、そういう相性って。

KREVA:あると思う。

慶太:テイラー・スウィフトも10万円くらいのマイクらしいですからね。

KREVA:やっぱりそうなんだよね。テイラーがあれでいいって言ってるから買ってみようのファーストチョイス。誰かがいいって言ってるものって買う時の自信にもなるし、迷いがない。だから頼むよ、プラグイン警察。

慶太:任せてください!(笑)。僕、なんならエンジニアにプラグインを教えて回ってるので。

KREVA:ガジェット系は俺に任せて!

慶太:ここに大きな取り締まり組織が生まれましたね(笑)。

KREVA:所轄。

慶太:いやー嬉しいな。

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