AKLO×ZORNのリミックスに感じたヒップホップ独自の面白さ 『A to Z TOUR 2018』東京公演

AKLO×ZORNの2マンライブを見て

 AKLOとZORNが8月24日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにて『A to Z TOUR 2018』の東京公演を開催した。

 彼らは昨年7月、同会場でNORIKIYOが開催した『Bouquet Tour Final』にて初見を果たす。そして今年に入り、AKLOがZORNに共演依頼をしたことで、今回のツーマンライブが実現したという。千秋楽となったこの日は、その高いスキルに裏打ちされたラップのみならず、同ツアーのために制作されたリミックスナンバーのパフォーマンスを通じて、ヒップホップならではの魅力にも気づくことができた。

ZORN
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 ライブのトップバッターはZORN。「いい感じ」で幕開け、続く「Life Size」や「葛飾ラップソディー」で、ZORNにとって"何気ない日常"を歌ったかと思えば、ZONE THE DARKNESS時代の「奮エテ眠レ」や「Dark Side」で、かつて胸中にあった暗い陰影も覗かせる。しかし最後には、成長する娘たちへの想いを綴った「Letter」や「My Life」を歌唱。3児の父、そしてラッパーである彼の信念や父性を垣間見て、その人生における振れ幅の大きさを肌で感じるひとときだった。

AKLO
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 続くAKLOは、望むもの全てを手に入れると歌う「Getter」や、人生の浮き沈みをギャンブルに喩えた「NEW DAYS MOVE」などをキック。デビュー当時より親しいBACHLOGICの手掛けた緊張感あるトラックが、よりタイトにAKLOのラップを響かせる。また、彼のユーモラスな言葉選びや、滑らかなフロウから生まれる余裕ぶりは、ZORNとは一変して“孤高な王者”と評せるだろう。多くのラッパーは、自身の成功や、それに向けた野心を語る言葉選びのセンスが往々にして問われるが、AKLOはそのなかでも飛び抜けた存在だ。

 そして、この日のメインアクトであるAKLOとZORNのコラボステージに。彼らは今回のツアーに際して、それぞれの代表曲「RGTO」と「Backbone」のリミックスナンバーを制作。リリース当時とは桁違いのプロップスを稼ぐ彼らによって、前者はリリースから約4年、後者は約5年の時を経て“アップデート”されたのは、長年のヘッズに向けた“凱旋”の含みもあると思われ、非常に興味深い。また、ライブでフロアの起爆剤となるのはもちろん、ステージ外では、多くのリスナーが彼らのツーマンライブに興味を抱くきっかけにもなったはずだ。そう考えれば、両楽曲がツアーを通じて果たした役割はとても大きい。

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