立花理香が初のワンマンライブで示した“自己プロデュース能力”の高さ

立花理香の“自己プロデュース力”の高さ

 声優アーティストの立花理香が9月2日、渋谷TSUTAYA O-EASTにて初のワンマンライブ『1st LIVE〜LIFE! LIVE! Flora!〜』を開催した。

 彼女は今年の3月にソロデビュー作となる1stミニアルバム『Flora』をリリース。3月11日に行われたイベント『立花理香 Birthday event 2018 ~Flora~』は、ライブとトークコーナーを交えたものだったため、純粋な“ワンマンライブ”は今回が初めてのことだった。同イベントのレポート時に「楽曲が増えた際には『立花理香のアーティスト性だけを打ち出すライブ』も見てみたい、と思ったりもした」(参考:立花理香、バースデーイベントで示した“タレント”“アーティスト”としての強い二面性)と書いていたのだが、早くもそれが実現した形だ。

 立花は先日8月29日に、2ndミニアルバム『LIFE』をリリースしており、前作に引き続き、編曲はすべて中土智博がアレンジを手がけている。そのため、ライブでは幅広い楽曲が披露されたものの、綺麗に一本芯が通ったセットリストのようにも感じた。序盤は本人が「フェアリー感溢れる」と語っていたファンシーな衣装で登場し、フューチャーベース曲である「Brand New」「marguerite」を立て続けに披露。「Brand New」はインタビューでも「私の普段の朝のイケてる部分だけを抽出していただきました(笑)」と語っていた通りスタイリッシュな一面に、「marguerite」はカワイイ一面にそれぞれ焦点を当てた楽曲であり、立花もここでは全力で“キュートなパフォーマンス”に徹していた(参考:立花理香が自作詞曲で掴んだ“達成感” 「思いついたらやってみようという姿勢になれた」)。

 とはいえ、MCになるといつもの“面白い”立花理香が顔をのぞかせる。水を飲めば客席から「それ、日本酒ー?」とヤジが飛び、そこに見事な切り返しをしてみせたりと、次々に客席からの声を捌いていくところに、改めて彼女のタレント力の高さを感じた。

 そこから「Flaming Rose」「KOTO-DAMA」「赤いアネモネ」と、激しめかつロック調の楽曲が続くパートで、カッコいい一面をしっかりと見せつける。振り付けも前回のバースデーイベント時より複雑で色気のあるものになっており、はっきりとその進化を目の当たりにすることができた。かと思えば、MCで「『KOTO-DAMA』は『アウトローな映画を観てストレスを発散する』ってインタビューではお話したんですけど、それは表のテーマで、裏テーマは……」と、新曲の種明かしをして笑いを取ることも忘れない。

 『Flora』と『LIFE』、それぞれの最後を飾る、オリエンタルな雰囲気の「flowery night」「gradation」で歌手・立花理香としての実力をはっきり提示したあとは、「Shining Memory」のMVメイキング映像が会場に流れた。本人はMVについて、インタビューで「あからさまに“インスタ映え”を狙いましたね(笑)」と話していたが、メイキングではオシャレな風景を映し出している一方で、フラミンゴの浮き輪でふざけてみせたり、プールに飛び込めずに怖がる様子など、その裏側が映し出されており、客席からは歓声と笑い声が交互に聴こえてきた。

 その後、本人曰く「コズミック、サイバーな感じ」の服装に着替えて登場した立花は、前作リード曲の「REALISTIC」と、自身が作詞を担当した「TUNE UP」をパフォーマンス。ここで客席のテンションは一気に上がっていくのが手に取るようにわかった。楽曲を終えると、立花は「歌詞を書いているときに『これくらい盛り上がるだろうなー』なんて思ってた以上に盛り上がって、なんか悔しい(笑)」と悪態をつきながらも、ファンへ感謝の意を伝える。終盤、サンバビートの「MY SWEET UNIVERSE」では立花とファンがタオルを掲げて盛り上がり、続く「Say Goodbye」をしっとりと歌い上げて本編は終了した。

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