ORESAMAがBLITZワンマンで提示した、“音楽を通してひとつになる”ディスコミュージック

ORESAMAがBLITZワンマンレポ

 ORESAMAのライブ『ワンダーランドへようこそ~in AKASAKA BLITZ~』が、9月13日にマイナビBLITZ赤坂で開催された。

 開演すると会場は暗くなり、緑色のレーザーがステージ中央から天井に照射される。それをダンサーが手をかざして遮りながら、腕を上下したり離したりして光を操る。舞台から四方八方に伸びるレーザー光線の束が放射状に散ったり、華麗に舞ったりする鮮やかなステージングだ。光と同期した動作のひとつひとつに会場からは歓声が上がり、手拍子が徐々に大きくなったあたりで1曲目「ワンダードライブ」が始まった。うねるベースに自然と観客の体が揺れる。2曲目「Wainting for…」では、レーザーが天井に吊り下がっているミラーボールに当たって乱反射し、会場をダンスホール化。カラフルな照明も相まって舞台はまさに”ワンダーランド”へと変貌した。

 次に披露した「cute cute」は音階の独特な一曲。照明が一転して赤くなり、異様な雰囲気を醸し出す。ORESAMAのメンバーでありギターを担当する小島英也と、サポートで参加したベースの三浦光義(パレードパレード)、そして中央のボーカルぽんの3人がリズムに合わせて踊り出す。踊ると言っても足を動かしたり上体を仰け反ったりするシンプルなものではあるが、それまでほぼ立ち位置を変えずに演奏し、歌っていた3人が足並みを合わせて左右することで、ステージにも動きが生まれた。観客からも大きな歓声が上がる。曲のムードにマッチしていてとても良い。真似をし易く、一緒に踊ることのできる非常に”ディスコ的”なパフォーマンスと言っていいだろう。

 3曲を一気に披露し終えるとMCタイムへ。ぽんが観客へ呼びかけると会場からは割れんばかりの歓声が。続けて「今日、学校帰りもしくは仕事帰りだって人!」と聞くと、大多数の観客から大声での返事が返ってきた。どうやらORESAMAのライブは今、学生や社会人が平日の合間に楽しむことのできる貴重なひと時となっているらしい。まさしくそれは”ディスコ”に他ならないわけだが、彼女らが鳴らすディスコサウンドはしっかりと現代仕様にアップデートされていて、流される映像も若者が親しみやすいアニメチックなものになっている。若い人から大人まで多くの人々が楽しめる空間を作り上げているのがORESAMAのイベントなのだ。

 「今夜は私たちにとって挑戦の夜です。ここからはORESAMAディスコゾーン!」と言うと、そこから「ようこそパーティータウン」「Listen to my heart」「Dreamin’ Pops」を続けて披露。そしてMONICOによるDJタイムへ突入した。彼女が繰り出すハードエレクトロ~テクノなサウンドに会場はノリノリに。休む間もなく「ホトハシル」へ移り、続いて「Trip Trip Trip」のイントロが鳴り出すと大歓声が湧く。途切らすことなく一貫してハイテンションに攻めていく。そして、次のMCでぽんが喋った内容が印象的であった。

「リリースをさせていただくことだったり、こうやってライブをさせていただくことだったり、本当にたくさんの方の力をお借りして実現することができていて。そして、待っていてくれるみんな、楽しみにしてくれるみんな、こうして遊びに来てくれるみなさまのおかげで、私たちは活動することができています。いつも本当にありがとうございます。(中略)小島くんがね、よくライブは新しい音楽ができる場所だって言うんです。みんなの歓声、熱気、私たちのテンション、アドリブだったり……そういうものも含めて今までとはひと味違う新しい音楽ができる。そういう場所がライブだって言うんです。私もね、日々活動してく上で本当にそうだなって実感していて。私たちは日々のすべて、抱えているもの、背負っているもの、そういうものをすべて共有することはできないんですけど、でも”音楽”というフィルターを通して、今この瞬間きっとひとつになれるんだと本気で思っております」

 彼女のこの言葉は、これまでORESAMAがずっと掲げてきたコンセプトに他ならない。彼女たちは『FLAT NIGHT CARNIVAL』と題して渋谷でイベントを定期開催してきた。毎回、数グループを招聘し「音楽を通してひとつになる」をテーマに3~4マンライブを行い、着実に動員を増やしてきた。単純に客数もそうだが、サポートメンバーのMONICOや三浦はもちろんのこと、ダンサーの2人、アンコールで登場したFoggy-Dなど、ステージに関わる者も増えている。いわば、”ORESAMAの輪”は確実に広がっている。今回、その集大成となるであろう『TOKYO FLAT NIGHT CARNIVAL THE FINAL』の開催が発表された。

 この次に披露した「耳もとでつかまえて」は、そんな彼女たちの思いが伝わってくるものであった。〈今 この時がわたしの楽園〉〈夢を見させて 見させて わたしを導くメロディ〉。こうしたフレーズを、ぽんが細く透き通る歌声で祈りを込めるようにして歌い上げる。凛とした彼女の姿は、ORESAMAが作り出す未来を見据えているようでもあった。

 終盤ではデビューシングル表題曲「オオカミハート」や人気曲「流星ダンスフロア」も披露。畳み掛けるようなラストスパートで駆け抜けて本編は終了し、アンコールでは「Shahow and Truth」と「乙女シック」を歌い切る。大歓声の中で彼女たちはステージをあとにした。会場を包んだファンの温かい声援は、どこか彼女たちの行く末を後押ししているかのようだった。

 平日の夜に様々な者が集った今回のORESAMAのライブ。そこで繰り広げられていたのは、「音楽を通してひとつになる」と祈りの込められたディスコスペースであった。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
blog
Twitter(@az_ogi)

■リリース情報
6th SINGLE『ホトハシル』
発売日 :2018年8月22日(水)
価格:¥1,200(税抜)
<収録曲>
1. ホトハシル ※TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』EDテーマ
2. ようこそパーティータウン ※株式会社ロッテ 雪見だいふく「雪見家の日常はほんわりで〆る」主題歌
3. ホトハシル -Instrumental-
4. ようこそパーティータウン -Instrumental-

■ライブ情報
『TOKYO FLAT NIGHT CARNIVAL THE FINAL』
日時:2018年11月9日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:TSUTAYA O-EAST
出演:ORESAMA、fhána、PENGUIN RESEARCH

■関連リンク
ORESAMA オフィシャルサイト
ORESAMA 公式Twitter
TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』公式サイト
TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』公式Twitter

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