“ゲーム音楽”は次世代音楽文化の礎に? 『NieR』『艦これ』がランクインした最新チャートから考察

参考:2018年09月24日付週間アルバムランキング(2018年9月10日~2018年9月16日)

『NieR Orchestral Arrangement Special Box Edition』(完全生産限定盤)

 9月24日付のオリコン週間アルバムランキングでは、初登場のTWICE『BDZ』が1位を獲得。18万枚という売上枚数で他を圧倒している。なにしろ、同じく初登場で2位のTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE『THE RAMPAGE』は3万6千枚だ。ほか、1年近いロングセラーを記録している安室奈美恵のオールタイムベスト『Finally』が、9月16日の引退のタイミングも重なって順位を上げている。

 今回ピックアップするのは、初登場で7位にランクインした『NieR Orchestral Arrangement Special Box Edition』と、同じく初登場で10位にランクインした『艦隊これくしょん -艦これ-KanColle Original Sound Track vol.Ⅳ【雨】』。いずれもゲーム音楽のサウンドトラック、およびそのアレンジ盤だ。それぞれプラットフォームもゲームのジャンルも異なるものの、いわゆるJ-POPの有名アーティストのタイアップなどがついているわけではない純粋なゲーム音楽そのものが、熱心なファンを集めるコンテンツになっていることをあらわす興味深いランクインだと言える。

NieR Orchestral Arrangement Album PV

 加えて言えば、『NieR』シリーズについては、先日9月17日にパシフィコ横浜国立大ホールにて『NieR:Orchestra Concert 12018』が開催されたばかり。『艦これ』もオーケストラ編成にアレンジした楽曲を演奏する「『艦これ』公式クラシックスタイルオーケストラ Grand Fleet Tour」として2016年と2017年にツアーを開催している。ほかにも、ゲーム音楽のクラシカルなコンサートの例には枚挙の暇がない。毎月のように、日本のどこかでゲーム音楽のコンサートが行われていると言っていいほどだ。ゲームの形態を問わず、その世界観やストーリー、キャラクターへの想いなどを表現するメディアとして、こうしたサウンドトラックやオーケストラコンサートが展開されている。

 そもそもゲーム音楽自体が技術の発展に従ってよりリッチな表現へとーー数和音のチップ音楽から、シンフォニックな劇伴に至るまでーー開かれていったことも前提としてあるが、オーケストラコンサートは作り手が自らの思い描く世界や物語をより豊かに表現する場として、そしてまた興行としても重要な役割を担うようになった側面もある。同時にまた、ゲーム音楽は管弦楽などのクラシック音楽へ触れる窓口としても注目を集めている。海外ではゲーム音楽をアレンジして演奏するコンサートが独自に企画され、人気を博しているほか、専門の管弦楽団まで活動している。

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