THE RAMPAGE、1stアルバムが表現する“個性と進化” 対称的な2枚組のコンセプトを紐解く

THE RAMPAGE、1stアルバムレビュー

 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEが自身の名を冠した1stアルバム『THE RAMPAGE』は、2014年の結成から4年の歳月をかけて磨き上げたその音楽性とアティテュードが鮮やかに浮かび上がる、まさに集大成といえる作品に仕上がった。20曲もの楽曲を収録した同作は、「Downtown Side」と「Uptown Side」の2枚組となっており、それぞれに明確なコンセプトがあるのが特徴だ。しかも、対称的な仕上がりとなった2枚を聴き比べることによって、THE RAMPAGEというダンスボーカルグループの斬新さやクリエイティビティが立体的に捉えられるよう、様々な工夫が凝らされているのである。

 Disc1の「Downtown Side」は、EXILE TRIBEの新機軸ともいえるTHE RAMPAGEの個性を前面に打ち出すのが、そのコンセプトだろう。

 EXILE TRIBEに所属するグループのほとんどは、その中心的存在であるEXILEの編成を基に形作られていて、最新のダンスミュージックの上で異なる特徴を持ったツインボーカルを聴かせるのが、その音楽的特徴である。例えば三代目J Soul Brothersの場合は、本格的なR&B路線を追求する今市隆二と、現在進行形のダンスミュージックと日本語詞の融合に意識的な登坂広臣のツインボーカルによって、表現に奥行きを持たせるとともに、世界的なトレンドを取り入れながらJ-POPシーンでも受け入れられる楽曲を数多く生み出している。才能豊かなパフォーマー陣が、その楽曲の魅力をさらに高めているのは言うまでもないだろう。ツインボーカル+パフォーマーという組み合わせは、EXILE TRIBEの方程式であり、多くのリスナーが“らしさ”として捉えている特徴ともいえる。

 しかし、THE RAMPAGEは、そのグループ編成からして大きく異なる。軸となるのは、RIKU、川村壱馬、吉野北人による“トリプルボーカル”だ。ボーカル陣の中では年長で、ハスキーな響きの中に色気を感じさせる歌声のRIKU。キレのある発声と芯のある低音がクールな川村壱馬。そして、伸びのあるクリーンな歌声で、楽曲に華やかさを加える吉野北人。三者三様のボーカルで、これまでのEXILE TRIBEにはなかった畳み掛けるようなマイクリレーを展開するのが、THE RAMPAGEの音楽的特徴のひとつである。さらに、世界的な音楽のトレンドであるシンギングラップを大いに取り入れ、ハードなエレクトロサウンドとともに、ヒップホップ色の強いアプローチをしているのもポイントだ。

 川村壱馬の「This is THE RAMPAGE!」との一声で幕を開ける1曲目「Lightning」は、そんなTHE RAMPAGEのデビュー作にして、早くもその方向性を明確に示した楽曲だ。ヒップホップシーンにルーツを持ち、これまで数多くのヒット曲を手がけてきたSKY BEATZをはじめとした4人のトラックメイカーのコライトによって生まれた鮮烈なトラックと、その上で舞う3人の斬新なボーカリゼーションは、EXILE TRIBEの新たな可能性さえ感じさせるものだった。続く2曲目「LA FIESTA」は、この路線を突き詰めながらも、エキゾチックかつセクシーなトップラインによってTHE RAMPAGEの表現力の高さを証明した楽曲で、アルバムのリード曲に選ばれている。その後もラテンミュージックのテイストを盛り込んだ「Fandango」、重いビートが芯に響く「HARD HIT」など、アッパーかつパワフルな“THE RAMPAGEサウンド”がこれでもかというほどに展開されていく。

 7曲目「New Jack Swing」は、2003年にリリースされたEXILEのアルバム『EXILE ENTERTAINMENT』に収録された同名曲のカバーで、その名の通り80年代後半に一世を風靡したニュージャックスウィングを現代的に再解釈した楽曲である。EXILEに憧れ、その意思を継ぐ存在として、“Jr.EXILE”とも称されるTHE RAMPAGEだが、最新のボーカルエフェクトをふんだんに活用した同曲のアレンジからは、さらに新しい表現を生み出そうとする姿勢も感じられる。そして10曲目の「GO THE RAMPAGE」。自己紹介ソングとも言える同曲は、サビの〈We Are THE RAMPAGE〉というフレーズが頭から離れなくなる一曲で、ふと気付くと口ずさんでしまうほど中毒性がある。こうした楽曲が収録されていることも含めて、「Downtown Side」は“THE RAMPAGEらしさとは何か”を力強く宣言する1枚と言えるだろう。

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