ケツメイシはファンと共に年を重ねるグループに 『ケツノポリス11』から考える“長生き”の秘訣

参考:週間アルバムランキング2018年11月5日付(2018年10月22日~2018年10月28日)

『ケツノポリス11』

 3週連続首位だったMr.Children『重力と呼吸』が5位へ。それでも初週31万枚→次週5.9万枚→先週2.1万枚→今週が1.2万枚なので、発売から1カ月で40万枚を突破したことになります。相変わらず、すごい。チャートの世界に昇り詰めてそろそろ四半世紀。全国民が歌えるヒット曲を星の数ほど生み出してきた彼らが、デビューから26年経った2018年になってもイキイキと自分たちのサウンドを鳴らしていること。そんな姿がきちんと40万人に届いている事実。どちらも素晴らしい限りです。

 さて、今週の主役は、4万枚のセールスで初登場1位を奪取したケツメイシ『ケツノポリス11』。メジャーデビューは2001年ですが、母体となるグループの活動開始は1993年。彼らもまた四半世紀ケツメイシであり続け、活動休止も方向転換もないままマイペースに作品を出し、常に楽しげな自分たちのイメージを更新しているグループです。これはヒップホップ開眼以降のJ-POPで前例のない記録と言えるのではないでしょうか。

 いやいや、もっと長くやっているのはスチャダラパーだ、RHYMESTERだ、という声が聞こえてきそうですが、彼らはあくまでヒップホップマナーに則ったラップグループ。J-POPとしての親しみやすさ、聴きやすいメロディを重視し、サビ以外のパートをラップで構成する楽曲が広まっていくのは2000年以降のことです。これを“ヒップホップ開眼以降の”J-POPと定義しましょう。華々しい主役はRIP SLYMEやKICK THE CAN CREWでしたが、次のブレイク候補、スマッシュヒットはあるけどまだ本命じゃない……という位置にいたのがデビュー当時のケツメイシでした。その後、満を持して「夏の思い出」や「さくら」などが生まれていきますが、ここはもう説明不要ですね。

 歌謡曲の郷愁を感じるメロディ、レゲエやディスコなどの要素も含んでいるケツメイシの音楽が、さて純然たるヒップホップグループかといえば、もちろん違います。そこは本人たちも自覚していて、初期の頃から〈俺は美少年(ビーボーイ)じゃなくてビールボーイ〉とエクスキューズを入れるようなお祭りソングが多数ありました。本気のB-BOY論争をやりたいのではなく、ただ仲間との楽しい日々をそのまま歌いたい。この姿勢こそがケツメイシの長生きの秘訣になったと思うのです。

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