ONE OK ROCK、なぜオーケストラとコラボ? 新たな実験が行われた日本ツアーを振り返る

ワンオク、なぜオーケストラとコラボ?

 ONE OK ROCKがオーケストラと共演するライブツアー『ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018』を10月20日から31日にかけて、埼玉と大阪で全4公演を行った。本稿では10月21日のさいたまスーパーアリーナ公演について記す。

写真=橋本塁(SOUND SHOOTER)

 正直、ONE OK ROCKがオーケストラを携えたライブを実施すると聞いたとき、最初に思い浮かべたのはBring Me The Horizonのロイヤル・アルバート・ホールでのライブだった。これは2016年4月、ロンドンにある格式高い演劇場ロイヤル・アルバート・ホールで、メタルコアバンドBring Me The HorizonがThe Parallax Orchestraと共演したチャリティライブで、のちにライブ作品として映像化もされている。公式YouTubeチャンネルではその一部が公開されているので、目にしたことのあるラウドロックファンも少なくないだろう。

 つまり、筆者は“モダンなラウドロック+クラシカルなオーケストラ”の構図から、上記のライブを思い浮かべたわけだ。ONE OK ROCKが2017年にリリースした最新アルバム『Ambitions』は音数の少ないモダンなアレンジが施されたミドルテンポの楽曲が中心だったこともあり、発売当初はBring Me The Horizonの5thアルバム『That's The Spirit』(2015年)との共通点を挙げたこともあった。なので、どんなスペシャルライブが展開されるのか、勝手に脳内でイメージしてしまっていたのだ。

Taka
Toru
Ryota
Tomoya
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 では、実際のライブは本当に筆者の脳内で展開されたパフォーマンスどおりだったかというと、まったくそんなことはなかった。むしろ、「決して驚くことではない展開だ」と早とちりしてしまっていたわけだ。

 あえてツアー初日(10月20日公演)の情報を目にせずに挑んだこのライブ。オープニングを飾る「Change」の時点で、すでに圧倒的だった。総勢53名におよぶ、ストリングスやホーンセクションを擁するオーケストラを背に、ONE OK ROCKの4人は上下黒のスーツに白シャツ、黒ネクタイというフォーマルな装いで演奏を展開していくのだ。通常のライブと比べれば楽器隊が若干緊張気味に思えたが、Taka(Vo)の煽りやボーカルパフォーマンスはいつもどおり冴え渡っている。現時点での最新ナンバーである「Change」はアルバム『Ambitions』で提示したスタイルをさらに一歩推し進めたものだけに、この日のライブ1曲目に選ばれたのも納得がいく。客席に目を移すと、彼ら彼女らもいつもどおりのスタイルでライブを堪能しているようだった。

写真=橋本塁(SOUND SHOOTER)

 ストリングスとの相性も抜群だった「Change」を経て、ONE OK ROCKらしいアップチューン「Ending Story??」へと移行すると雰囲気は一変する。Toru(Gt)が激しいギターリフを刻むと、フロアの熱気は一気に加速。モッシュはサークルなども目にすることができるくらい、会場の空気感は通常の彼らのアリーナライブと一切変わらないものとなった。さらに3曲目には「欠落オートメーション」という意外な選曲に、フロアからは大歓声が湧き上がる。この時点で、今回のツアーは最新モードのバンドを見せるものではなく、ONE OK ROCKというバンドがこれまでに生み出してきた楽曲が、オーケストラとどのような化学反応を起こすのか、その実験の場であることに気づかされた。

写真=橋本塁(SOUND SHOOTER)

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