『第69回NHK紅白歌合戦』の傾向は? “平成最後”の出場者から浮かぶ3つのキーワード

 11月14日、平成最後となる『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合/以下、「紅白」と表記)の出場歌手が発表された。特別企画で登場する椎名林檎と宮本浩次を含めて全43組。この数は平成に入って最も少ない。まだ発表されていないアーティストのサプライズ出演も考えられるが、基本的には一組ずつのパフォーマンスをじっくり見て聞いてもらおうという姿勢の表れだろう。

 その顔ぶれを見ると、いくつかのキーワードが浮かんでくる。

 まずひとつは「復活」だ。

DA PUMP『U.S.A.』(通常盤)

 今年最も話題を集めた楽曲がDA PUMPの「U.S.A.」であることは、衆目の一致するところだろう。独特の振り付けも「ダサかっこいい」と人気を呼び、今年を代表するヒットにつながった。

 DA PUMPと言えば、アイドル的人気を誇るダンス&ボーカルグループとして1998年から2002年まで5回連続で出場するなどかつては「紅白」の常連だったが、その後16年出場が途切れていた。これだけ久しぶりの復活は、きわめて珍しいケースと言える。

 ほかにも今年は復活組が目立つ。aikoが5年ぶり、いきものがかりが2年ぶり、松任谷由実が7年ぶり、MISIAが3年ぶり、EXILEが3年ぶり。それぞれ事情は異なるが、DA PUMPとあわせ計6組が復活を果たした。初出場が計6組と昨年から4組減っていることもあり、復活組の存在感はより際立っている。

 もうひとつのキーワードは「ネット発」だ。

 先述のDA PUMP「U.S.A.」がここまでヒットしたのも、もとはと言えばネットで公開されたMVの力が大きかった。ネットでの反響が起爆剤になるのはいまに始まったことではないが、その傾向は年々強まっているように見える。

 そうしたなか、今回初出場となったのがDAOKOである。新世代のラップシンガーとして注目を集める彼女だが、音楽の世界に足を踏み入れたきっかけは動画共有サービス・ニコニコ動画へのオリジナルラップの投稿である。中学3年生のときだった。

 既存のアーティストのMVが人気になったというようなことではなく、ネットでの活動に音楽的創作のルーツを持つアーティストが「紅白」出場を果たしたという意味では、またさらに「ネット発」の次元が進んだと言ってもいい。昨年発売され大ヒットした「打上花火」でDAOKOとコラボし、「紅白」への出場も待望されている米津玄師も、音楽活動を始めた当初、ニコニコ動画に自ら歌った動画やオリジナル曲を投稿していたことで知られる。今後、「紅白」におけるこうしたアーティストの台頭は続くのではあるまいか。

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