西野カナ、初登場で1、2位を独占 ベスト盤『Love Collection 2』から感じた“変化”

参考:2018年12月3日付週間アルバムランキング(2018年11月19日~2018年11月25日)

西野カナ『Love Collection 2 〜pink〜』(通常盤)

 映画公開のタイミングで24位から始まったものの、39位→22位→8位→5位→4位と、じわじわ売れ続けているのがQueenの映画サントラ『ボヘミアン・ラプソディ』。今のところ累計15万枚突破。素晴らしい数字が叩き出されていますが、それでも1位奪取とはいかないようです。今週、初登場にして1位と2位を独占したのは西野カナのベストアルバムでした。どちらも5.5万枚超え。強いです。

 大きなリボンにくるまれたジャケットがかわいい『Love Collection 2〜pink〜』『Love Collection 2 〜mint〜』。“2”と付いているのは当然これが2枚目のベストだからで、2013年、デビュー5周年のタイミングで、同じく『pink』と『mint』バージョンが発売された『Love Collection』は大ヒットを記録しています。当時のジャケットの西野は金髪。大きな瞳を強調したメイク、こちらをキリリと見つめる眼差しの強さも含めて、浜崎あゆみを彷彿とさせるルックスでした。

 実際、初期の西野カナには“ポスト浜崎あゆみ”という印象がありました。恋をするほどに傷つき、会えない時間の長さに悶え、この恋が永遠であれと願う少女のような感性。想う相手がいるからこそ、巨大な孤独に打ちのめされていくもどかしさ。どの歌も主語は「たったひとりの私」です。その切迫感が集約されたのが2010年の〈会いたくて会いたくて震える〉というパンチラインだったと思います。

 今の彼女にその面影はありません。最初のベストが出たあとのシングル「Darling」は、同棲、あるいはお互いの部屋を行き来している恋人同士のストーリーで、ノロケっぽい口調が愛らしいポップソング。2015年のシングル曲「トリセツ」はさらに進化し、結婚を前提とした状況で女の子が「これからも末永くよろしくね」と宣言する。女性版の「関白宣言」(さだまさし)とも言われた曲です。そう、デビュー5周年を超えてからの西野カナに震える孤独はありません。主語の「私」には常に「一緒にいるあなた」がいて、にっこり笑顔が浮かぶハピネスが伴っているのです。

 20代前半から後半になり彼女自身の恋愛観が変化した。そう見る向きもあるでしょうが、恋愛のことを歌うシンガーが恋をするたびに曲を書いていたのでは身が持ちません。aikoや平井堅も毎回せつなすぎる恋をしているとは限らず、想像力を駆使してさまざまなシチュエーションや心の機微を描いているわけですね。

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